ここでは、みんな仲間。WANIMAが教えてくれた音楽の素晴らしき力

  • 2026年4月5日
  • 0405
  • WANIMA

THORNHILLのアツいライブが終わった東扇島は、18時を過ぎ、空はすっかりオレンジ色に染まっている。海から吹く風が、火照った体を優しく冷ましてくれる。思い思いのオーディエンスは、これから迎える夜の熱狂を待ちわびている。やがてCHAOS STAGEから低く唸るベースの振動が止まり、心拍数が自然と高まっていく。風に乗ってざわめきや笑い声が混ざり合い、会場はDEAD POP FESTiVAL特有の高揚感に包まれる。18時10分、WANIMAの出番だ。

SEで「JUICE UP!!のテーマ」が流れた瞬間から、サークルモッシュが自然発生し、リフトが上がり、3人を出迎える。歓声を受け、KENTA(Vo&Ba)がフリスビーを掲げ、KO-SHIN(Gt&Cho)、FUJI(Dr&Cho)とともに登場する。歓声が一気に空気を震わせ、オーディエンスは前方へ押し出され、会場全体がWANIMAのリズムに飲み込まれていく。空気は一気に熱を帯び、1曲目「フルボコ」で幕を開ける。3月にリリースされたミニアルバムにも収録されているナンバーだ。フロアからステージに向かって突き上げられたクラップハンズが、壮大な景色を作り出す。

続く「Do Gang」では、侍が斬り合う映像に合わせてKENTAの声がオーディエンスに叩き込まれる。それに応えるようにオーディエンスはサークルモッシュで応戦。曲のラストでは、FUJIがドラを叩きつける合図とともに、会場の熱気は一気に跳ね上がる。「BIG UP」「いいから」ではモッシュとジャンプが連鎖し、フロアは完全に解放された状態になる。いくつもサークルモッシュが生まれては弾けて混ざり、会場のボルテージは上昇。WANIMAとオーディエンスが一体となってライブを作っているという感覚が、強く広がっていく。

続いての「Hey Lady」では、コール&レスポンスが圧巻だ。KENTAの「ケンカするなよー! 仲良くな! ともに歌おうー!」に続いて、「ともに」が披露される。地面が大きく揺れるかのようなみんなのジャンプ、クラウドサーファーたちの波、響き渡るシンガロング。WANIMAならではの空気が会場を包み込む。この曲でのステージライトに照らされる観客のキラキラの笑顔が、たまらなく印象的だった。音楽があれば、みんな仲良くなれる。泣きたいことがあっても、必ず笑えるようになると感じられた瞬間だ。

小休止のMCで、KENTAが「どんな夜にしたいか、はっきりさせよーぜ! ひとつしかない!」と呼びかけ、「オドルヨル」が炸裂。ファンキーなグルーヴと魅惑的なライトがフロアをダンス空間に変え、ライブのストーリーをさらに高める。ラストスパートでは、KENTAが「ありがとうを込めて歌わせてください」と言い、「THANX」を放り込む。イントロが鳴ると、誰もが自然と歌い出す。ステージと観客の距離感はより近くなり、同じ歌を共有する空間がそこに生まれる。最後は時間が3分余ったため、再び「Hey Lady」が! KENTAはベースを置き、マイク1本で歌い抜ける。ヴォーカルにギターとドラムで生み出す、振動と熱気、確かな一体感が体に残ってフィニッシュ。

WANIMAのライブは、単なる音楽の時間ではない。その場に立ち会うみんなが、生きていることを実感できる、唯一無二の体験だ。世界各地で争いが続く今、国境や思想、立場が人々を分断している。しかしWANIMAのライブの前では、そんな壁は意味を失う。フェスだろうがライブハウスだろうが、バンド名や肩書き、国籍も関係なく、同じ空間で音を浴び、同じ瞬間に体を揺らすことができる。そこにいるすべての人が、彼らの音楽の中では仲良く平等な存在になれる。この日、DEAD POP FESTiVALに集まった人々の心を揺さぶったWANIMAの音楽には、分断ではなくつながりを生む力があった。音楽は、そこにいるすべての人に平等に届く。それこそがライブだ。音楽があれば、世界は変わる。WANIMAのステージは、その確かな感触を教えてくれた。

 

<セットリスト>
SE. JUICE UP!!のテーマ
1.フルボコ
2.Do Gang
3.BIG UP
4.いいから
5.Hey Lady
6.ともに
7.オドルヨル
8.THANX
9.Hey Lady

文:相沢修一
写真:JON