重厚で濃厚。流麗で凶暴なTHORNHILLのリアルヘヴィネス

  • 2026年4月5日
  • 0405
  • THORNHILL

時刻は17時30分。CHAOS STAGEの向こう側に太陽が沈んでいこうとしている。そんな夕陽を背景にした音楽、という意味では今日のラインナップの中でこれほどまでに適任だったバンドはいないだろう。オーストラリアはメルボルン発のTHORNHILL、出演アーティストの<DPF2026へ向けたコメント>内の「②SiM以外で気になる出演アーティスト」の項目でも、名前が多く挙がっており、袖の視聴率(対バン相手がライブを気になって様子を見にくる率)も格段と高かった模様。つまり、バンドマンがライブを観たいと思うほどにカッコいいバンドということ。

彼らの音楽性はネットで調べてみるとオルタナティヴメタルと記載されていたりするのだが、個人的にはオルタナゲイズやヘビーゲイズと言われる、アメリカ/ヨーロッパで増えてきたスタイルのサウンドを独自に表現していると思う。もっとラフに言ってしまうと、メタルコアをベースにしたシューゲイズ・インダストリアルロック的なものかもしれない。この辺りは個人的な主観なので、今日THORNHILLを初めて見て「やべぇ、かっけぇが過ぎる!」というフェスならではの素敵な出会いをした人は、上記のジャンルを検索してバンドをディグってみると人生の楽しさが無限に広がっていくことでしょう。

THORNHILLは2025年にアルバム『BODIES』をリリースしており、自らの新たなスタイルを確立させているのだが、今日のライブは本作からセットリストになっている。帰りにこのアルバムをサブスクか何かで聴いていただきたい。感動が蘇るから。

ライブはSEからの自然な流れでアルバム1曲目「Diesel」へ繋がり、イントロのNick Sjogren(Ba)の重厚で歪んだベースラインで身体を揺らしながらTHORNHILLの世界へ没頭していく。Jacob Charlton(Vo)のサークルピットを誘うようなアクトと共に始まった「Revolver」はのっけからモッシュが巻き起こり、硬質なビートダウンパートでヘッドバンギング。壮大なメロディに合わせてワイプと、オーディエンスもしっかりとTHORNHILLの音楽にしがみついていく。
新曲だと紹介された「Mercia」はエモーショナルで荘厳な雰囲気の1曲。Jacobの美し過ぎるメロディとシャウトが交差するボーカルと渦を巻くようにリフレインするヘヴィなリフに身体を委ね、THORNHILLの凶暴で流麗な音楽に陶酔していった。

「fall into the wind」を流しながら「あと数曲やったら帰ります。観てくれてありがとう」という端的な挨拶を済ませ、妖艶なグルーヴがたまらない「TONGUES」に。「全員、手を挙げろ!」と手を挙げさせてから「Obsession」では、揺蕩うようなリフに揺れ、ラストはCHAOS STAGE全員を座らせてから、3-2-1のカウントでジャンプ。メタリックで破壊力抜群な「nerv」。このまま身体をリフに乗せて頭を振って心地よくなってライブ終了へ、と思っていたのだが、そこにバッと飛び入りで参加してきたボーカルがいる。なんと、CrossfaithのKoie(Vo)だ! これにはフロアも騒然、一気にモッシュやらサークルピットやら、各々にその場で暴れまくるという事態に発展し、カオスのままにTHORNHILLのライブが終了していった。

ただ暴れるためのものではなく、その美しさを堪能して没頭することで自然と身体が動き、何やら脳内麻薬のようなものが出てきて楽しくなってしまうような。そんな刹那的な美しさと情緒、硬質なリフに見る凶暴性と破壊力が、THORNHILLのライブから感じられた。ふと見上げたら真っ赤な夕陽。CHAOS STAGEの真っ青な照明とは対比的で、どこか非現実的に感じられた。

THORNHILLは、この後、PROMPTSをゲストに迎えてジャパンツアーを行う。4月7日(火)は難波Yogibo META VALLEYでゲストはCrowsAlive。4月9日(木)は赤羽ReNY alphaでゲストはAULVIEW。うん、どちらも実に楽しげである。気になった人、今日観てTHORNHILLのサウンドに食らった人は駆けつけてみては?

<セットリスト>
01. Diesel
02. Revolver
03. Mercia
04. Silver Swarm
05. TONGUES
06. Obsession
07. nerv

文:田島諒
写真:半田安政