気温としては肌寒さも感じる夕方に差し掛かったところだが、ここCHAOS STAGEは依然として燃え上がっている。突き立てられたのは無数のメロイックサイン。スペイン発のオルタナティブメタルバンド、ANKORの登場だ。Guns N’ RosesやMarilyn Mansonとも共演を果たしている実力派であり、このDEAD POPでの邂逅を楽しみにしていた人も多いのではないだろうか。


そんな心待ちにしていたオーディエンスの熱気が渦巻く中、颯爽とJessie Williams(Vo)、David Romeu(G)、Fito Martínez(G)、Julio Lopez(Ba)、Eleni Nota(Dr)が姿を現し、Jessieの「What’s up DEAD POP?」の言葉から助走ゼロで「DARKBEAT」をいきなりぶちかます。まさしく問答無用。終盤にこのライヴを夢の舞台とも話していたが、SiMが主催するフェスに集ったオーディエンスに対する信頼感があったに違いない。Jessieは美メロとシャウトを自由自在に操り、壮大かつ極悪なサウンドと共に轟かせていく。
この曲以外でもちょっとした音響トラブルはあったが、そんなことを気にする素振りもない。グワッと攻め立て、アカペラからバンドインしたクライマックスは劇的な衝撃だった。
いかついリフをDavidとFitoが鳴らし、キュートなフロウも織り交ぜながらド迫力なシャウトを食らわせる「VENOM」では興奮しまくったオーディエンスも前へ詰めかけ、歯止めが効かない状況を生み出し、「EMBERS」の間奏では客席でアグレッシブにもほどがあるダンスも発生。ふと周りを見渡せば、CHAOS STAGEは溢れんばかりの人だかりになっている。


厳かな幕開けから伸びやかなメロディーと空間自体が歪むような轟音を投下する「MADARA」では巨大なサークルを、とJessieが促すと瞬時にオーディエンスが自ら高速で撹拌されていく状態。彼女たちは曲が終わるたびに客席へ向けて感謝の気持ちを伝えていたが、固い絆が生まれていたようにも思う。
魅惑的で、数十メートル離れたステージと自分がつながっているような不思議な感覚に陥らせてくれた「NAGATO」を経て、スペシャルゲストを、とDEAD POP FESTiVALの主催でもあるMAH(SiM)を呼び込み、先日リリースされたばかりの新曲「DANZO · lying ghost」を披露。JessieとMAHという2人、超強力というか、ギリギリで反則のラインを超えているようなツインバズーカだ。ド頭の咆哮からとんでもない威力を誇り、けたたましさのその先へ連れ去ってくれるほど。オーディエンスも手を振り、頭を振り、ステージと一体となってヒートアップし続け、モッシュパートに入れば当たり前のようにエクスプロージョンしていく。

そんな会場自体をぶち壊すような勢いのまま、ラストナンバーとして「PRISONER」を突きつけ、最高潮を迎えた形でフィニッシュ。圧巻と言っていい内容に世界は広いと改めて痛感。どこかに偏らず、フラットなスタンスで世界中に視線を配るSiMのDEAD POPだからこその出会いであり、素晴らしい体験だった。
<セットリスト>
1. DARKBEAT
2. VENOM
3. EMBERS
4. MADARA
5. NAGATO
6. DANZO · lying ghost feat.MAH(SiM)
7. PRISONER
文:ヤコウリュウジ
写真:半田安政

