リハーサルで「メタ盛るフォーゼ!」をあわせた時点で、多くの人がCAVE STAGEに集まってきた。花冷え。の登場だ。DEAD POP FESTiVALのレポート上で今さら説明をする必要もないと思うが、花冷え。とは、ユキナ(Vo)、マツリ(Gt,/Vo)、ヘッツ(Ba/Cho)、チカ(Dr)の4人からなる、ハードコアサウンドを軸に秋葉原カルチャーも内包したハイブリッドバンドだ。どうして説明したかというと、信じられないかもしれないが、彼女たち、今年が「DEAD POP FESTiVAL」初出演だから。まぁユキナは一つ前の、KNOSISのステージにもフィーチャリングゲストとして登場したし、なんなら直後のcoldrainのステージにも登場していて、すでにメタルコア、ハードコアシーン、そしてこの「DEAD POP FESTiVAL」に必要不可欠な存在なのは明らかなのだけど。
花冷え。メンバーは「念願のDEAD POP FESTiVAL」だと話していたが、もはやこちらも“待ってました”とばかりの彼女たちのライブ。本編1曲目に、<今や世界においてラウドロック パンク メタル ヒップホップというカルチャーは 日常生活に必要不可欠なのである>と口上をラウド仕様に替えた「O・TA・KUラブリー伝説」がドロップされれば、フロアは一瞬にしてモッシュピットに。フロアから立ちのぼる砂埃は、まるで彼女たちのステージを彩るスモークのよう。ヘッツの乾杯の音頭を合図にスタートした「今年こそギャル~初夏ver.~」では、ユキナがピンクのサングラスをかけて浮かれモード。「3、2、1」の号令でジャンプを煽れば、チカの繰り出す浮かれビートに合わせてDEAD POPが揺れる。そんなフロアをさらにぶち上げるべく、マツリがダイナミックギターソロを弾き倒すと、花冷え。のライブが始まった頃は雲に隠れていた西日も誘われてまた顔を出し、再び会場をピッカピッカに照らした。
それでも“令和最強女王”はまだまだご満足なさらないご様子。ユキナに「まだまだカオスにホットにできるんじゃないの?」「うちらにDEAD POPの最高さ、見せてくれよ!」なんて言われて、おとなしくしていられるわけないですよね、DEAD POP! 5月末にリリースされたばかりの「Spicy Queen」、全く甘くないハードなサウンドに欲求を歌い連ねた「我甘党」と甘辛MIXなセットリストにフロアも大暴れ。そんなフロアを見て、ユキナはちゃーんと「DEAD POP、最高!」って言ってました♡
むしろ最高すぎた結果、ユキナがMAHを連れてくる……代わりに、憑依させる。お立ち台の上でポーズを決めれば、すかさずマツリが「『Killing Me』のMVのサムネ!」とツッコむ有識者ぶり。どんなに言葉を重ねるよりもわかりやすく主催者への愛情を示したところで、MAHを憑依させたユキナが「昨日と今日で一番でっかいウォールオブデス作ろうぜ」とフロアを真っ二つにする……間もなく、フロアはしっかり二つに分かれる。そして「TOUSOU」が投下されれば、そこはもう地獄。ただ一つ言いたいのは、この景色を作り出したのは、ユキナにMAHが憑依したからではなく、紛れもなく、彼女たちの実力だということ。言うまでもないが、憑依する前から彼女たちのフロアはしっかり出来上がっていたから。
あとはもう「お先に失礼します。」「Today’s Good Day & So Epic」と攻め攻めの2曲でウキウキサークル、ドキドキサークルを作って幕引き。最後に「またここに戻ってくるからね!」と念押ししていたけど、この先、花冷え。がDEAD POP FESTiVALの常連になる未来しか見えないっす。
<セットリスト>
01.O・TA・KUラブリー伝説
02.今年こそギャル~初夏ver.~
03.Spicy Queen
04.我甘党
05.TOUSOU
06.お先に失礼します。
07.Today’s Good Day & So Epic
文:小林千絵
写真:半田安政