DEAD POP FESTIVALを地獄の宴とするならば、今年は鬼（＝TOSHI-LOW・BRAHMAN）が初日に大暴れをされたので、この方はさながら魔女王様と呼んでもいいでしょう。そう、“ヒップホップのクイーン”、愛とエロスの伝道師、この時代の代弁者こと、Awich様が、昨年に続いてCAVEステージに降臨です。初降臨となったライブは、昨年のライブレポ（https://deadpopfest.com/report/2024/?p=1701）をお家に帰ってからじっくりと読んでいただくとして、今年もあのウォール・オブ・デスが発生するのか。体感されていない人はもちろん味わっていただきたいし、何よりAwich様の圧巻のライブをとくと食らっていただきたい。
バックDJのU-LEEがひとりで現れてイントロがスタート。すると網タイツというセクシーでカッコよすぎる姿でAwich様が、美しいダンサーを引き連れてステージへと降り立った。1曲目は「Guerrilla」！ まさに魔女王様らしいナンバーをチョイス。
＜身じろぎもせずに見つめよ 尻込みはせずに掴めよ＞
過去に挫折したことがあったり、今まさに挫けそうだという人は、ぜひともこの曲を家に帰ってから今一度じっくりと聴いてください。もう背筋がビシッとなること間違いないです。そのまま「一緒に遊んでくれますかー！」のかけ声で、ぶちかまされた「Remenber」。ここまでの熱戦で疲れた体に英気がみなぎってくるかのような魅惑のナンバーにフロアが沸き立ってくる。「DEAD POP、飛びますー！」の煽りにはジャンプしながら昇天してしまったキッズもきっといたことでしょう……。そこから1マイク、1DJのスタイルで「洗脳」を挟んで「バッドビッチはどんだけいんだよ！ 男も女も関係ねえだろうが！ かかってこい！ 」と「Bad Bitch 美学 Remix」と「GILA GILA」が炸裂する。ステージはどんどんと熱気を帯びていく。
MCで「去年、私がどんだけお前らに食らったか、かまされたか、覚えてますか？ あれから私、ダイブの練習とかしたし」と言葉にされたように、初めてのDEAD POPにかまされたのが悔しかったようで、Awich様がここで助っ人を召喚する。それはPaleduskからDAIDAI！ たちまちステージ前方にオーディエンスが大集結。そこで「ウォールオブデス！ 真ん中開けろー！ 3,2,1, Let’s Go!!」のシャウト！ 出たーー!!! 左右に分かれていくオーディエンスが、全力でぶつかり合いながらプレイされたのは「ALIBABA」のバンドREMIX！ ここはクラブか？ ライブハウスか？ 地獄か？ 天国か？ いや、そんなことはどうだっていい。ステージの巨大なスピーカーから放たれる女王様のリリックが、オーディエンスの頭の中を言葉で埋め尽くしていく。強烈なまでの生きたリリックが、我々に突き刺さってくる。そのままDAIDAIと一緒に「WHORU？」をプレイ。Awich様は下界（＝フロア）に飛び込み、クラウドサーフでオーディエンスの上を泳ぐ。これでもすごすぎるのに、続く「RASEN in OKINAWA」では、CHAOSステージのトリを飾るOZworldに、沖縄からCHICO CARLITOも召喚し、さらに「C.U.I.O.S.I.T.Y」で、PaleduskのKAITOとDAIDAIを呼び付け、ONE OK ROCKのTakaの代わりにAwich様が歌うというビッグサプライズを。もうエナジードリンクなんて比べものにならないくらい強力なAwich様のステージング。まさにAwich様だからこその地獄の宴です。踊り狂う者がいれば、ダイブする者もいたりと、これがヒップホップのライブなのかと疑うかのような光景が広がっている。やはりAwich様は、どんなモラルにも縛られない圧倒的な力がある。規制することもコントロールすることだってできない。ロックもヒップホップも関係ない。あるのはただ、己を解放するということだけ。そう、みんな生きているのだ。
ラストは本物のヒップホップをと「Butcher Shop」をかます。甘美なダンスとリアルなラップを見事に見せつけ、ヒップホップフィールドでもがっつりとDEAD POP民をロックしてみせた。まだまだ世界は広い。ヒーローはライブハウスだけにいるわけじゃない。クラブにだって、そうヒップホップシーンにだって、当然だけどすごくカッコいいアーティストがいるのだ。もはや魔女王でなく女神様のようでした。今年もクイーンに最大のリスペクトを！
<セットリスト>
01.Guerrilla
02.Remenber
03.洗脳
04.Bad Bitch 美学 Remix
05.GILA GILA
06.ALIBABA feat. DAIDAI
07.WHORU？ feat. DAIDAI
08.RASEN in OKINAWA feat. OZworld, CHICO CARLITO
09.LONGINESS REMIX feat. CHICO CARLITO
10.C.U.I.O.S.I.T.Y feat. CHICO CARLITO,DAIDAI,KAITO
11.Butcher Shop
文：相沢修一
写真：かわどう／鈴木公平