今年のDEAD POP FESTiVALのラインナップにおいて、最も異彩を放っていたのがこのReolだ。ソングライティングのみならず、自身の活動全般をセルフプロデュースし、日本のみならず海外からも熱視線を送られている彼女とは言え、SiMをはじめとしたバンドたちの主戦場であるエクストリームなシーンとは縁遠く、関わりもないように見えたはず。
だが、「デッドポップの流儀に倣って、SiM、倒します、宜！」と勝ち気かつ堂々とした宣言もあり、果たしてどのようなスタンスで臨むのか、様々な期待がうごめく中、駆け出してステージに姿を表した彼女は助走なんか一切いらぬ、と「赤裸裸」からぶっちぎりのハイボルテージで攻め倒す。バッキバキのトラックの上で速射砲のように、特にキュートな言葉を飛ばし、おそらく初見の観客も多かったであろうが、有無を言わさず圧倒していくのだ。
「劣等上等」に入ってもその勢いは衰えず、飛び跳ねても、走っても、強い風が吹き荒れても、押し返されるどころか突き抜けてくる歌声が響き渡り、本能に直接呼びかけられた観客は盛大なクラップを鳴らすだけでなく、ダイブも続出すれば、サークルも出現。彼女のエネルギッシュなパフォーマンスにDEAD POP流で答えていき、そう来るならば、と「Reol流の遊び方を教えてまーす！」と呼びかけて放ったのが「十中八九」。サビではダンスも混じえながら観客を引っ張り、大きく揺らしていき、そのまま「煩悩遊戯」で畳み掛ける。ラップスキルの高さも見せつけ、飛ばしていった小気味良いフロウも心地よさ抜群だ。
無邪気に「ウォール・オブ・デスがやってみたいな〜？」と口にし、観客を左右に分け、「3、2、1、Let’s GO！」という言葉から起こったド派手なウォール・オブ・デスを合図に投下されたのが、究極に遊び倒したカオティックチューン「ギガンティックO.T.N」。多面的に表情を変え、酔わせてぶちアゲる曲なだけあって、観客もリフトにサークルにダイブとやりたい放題。DEAD POP流とReol流、互いのやり方を受け止め、渾然一体となっていく様はここでしか見られないプレミアムな光景だった。
ここでDEAD POP初出演の喜びを改めて爆発させた後、「実は上京して渋谷で初めて買ったアルバムがSiMの『SEEDS OF HOPE』でした」と語っていた彼女。普段活動しているシーンは違えど、音楽で繋がっていることを口にし、「ここでしか作れない景色、作りたいと思います」という言葉からSiMのMAHが好きだと言ってくれた曲を、と「宵々古今」をプレイ。民謡的な和のテイストをEDMで昇華した彼女ならではの1曲だ。この猛暑、夏祭りを連想させるアプローチもあり、客席をさらに熱くさせ、SiMに愛を込めて「オオエドランヴ」、最後は代表曲のひとつでもあるキラーチューン「第六感」をドロップ。スタートからラストまで高いテンション感をずっと維持しながら多彩なサウンドを披露し、アウェイなムードなど1秒もない、堂々たるステージだった。
＜セットリスト＞
01.赤裸裸
02.劣等上等
03.十中八九
04.煩悩遊戯
05.ギガンティックO.T.N
06.宵々古今
07.オオエドランヴ
08.第六感
文：ヤコウリュウジ
写真：鈴木公平