「ARE YOU READY?」 ― 最後の最後まで楽しそうにライブしたBray Me。爽やかなスマイルとともにステージに置いていったもの

  • 2025年6月28日
  • 0628
  • Bray Me

トップバッターから今年の天候以上にアツい熱気が、音楽に乗って吹き荒れている東扇島。目を閉じればいろんな音が聞こえてくる。風の音や木の音、みんなの足音、そして仲間と語り合う満足そうなみんなの話し声。いやあ、今年のDEAD POP FETiVALも最高です。 引き続きどんな音楽が、私達を満たしてくれるのだろう。ということで続いてCHAOS STAGEに登場したのは、ガールズロックバンドのBray Me。とにかくサウンドも歌詞も最高な彼女達は、DEAD POP FETiVALの初陣だ。

THE ORAL CIGARETTESのライブが終わり、リハを兼ねてステージに登場したメンバー。カワイイではなくカッコイイ、画になる4人だ。SEを挟まずにリハそのままに、こたに (Vo/Gt)の「やりますよー!」のかけ声とともにライブがスタート。

<耳を塞ぎ 目を閉じた すべてが嫌になってたあの時 魔法のよう響いたメロディに 涙があふれたんだ>

音源とは違い、アカペラで披露された1曲目は「魔法のように」から。こたにが声を上げる。夢中になってこぶしを上げた自分。周りを見れば、それは自分だけじゃない。みんながスカッと晴れた空に向けてこぶしを突き上げている。ステージの真ん中では、こたにが全身全霊で歌い、メンバー3人が音を鳴らす。重厚な音なのに静寂を感じる。歌詞がどんどん頭に入ってきて響きわたる。アツいけど美しいライブ。記録するために持っていたペンがいつの間にポケットに入っている。そう時間が止まったかのように、彼女達の音だけが体の中で反響する。あまりにカッコよくて泣きたくなる。ガールズバンドだから、日本語詞だからとか、そんなことはどうだってよくて、カッコイイものはカッコイイ。むしろ痛快でクールだ。1曲目から音楽を信じる人を後押しするエモーショナルな曲が炸裂した。この歌はとにかく歌詞が最高で、初見だった人はぜひとも帰宅してからイヤフォンを通じて聴いてみてほしい。ライブはもちろん最高でしたが、ひとりで部屋の中で歌詞を読みながら聴いても泣けるでしょう。そんな胸をがっちりロックするライブで、フロアは出だしから燃えるようにアツくなった。

続くは「サイダー」では、爽やかなギターから幕開ける。スピーカーから吹き荒れる音の風で、洋服をばたばたと旗のようになびかせながら心から歌い叫ぶ。アツいんだけど、Bray Meが巻き起こす音の風を、みんな心地よく感じているようでグッとくる。そこから聴く者の背中を押してくれるメッセージがたまらない「人間らしく」に「Focus」と続き、Bray Meのサウンドがフロアを優しく包む。彼女達の音は、映画館で聴くような中途半端な音とはまったく違う。ちっぽけな効果音なんて目じゃない、確固たる硬い芯があるバンドの音だ。耳で聴くというよりも体全部で受け止めたい音。それにこたにの歌声。歌詞が頭の中で絵を描いていくように世界がどんどん広がっていく。そこにイトウアンリ (Gt/Cho)、SAKKO (Ba/Cho)、ありさ (Dr/Cho)ら、楽器隊が鳴らす音が何度も気持ちいい風となって押し寄せる。

曲が終わってこたにが「目の前にいてくれてマジでどうもありがとう! そして、SiM、呼んでくれてどうもありがとう!」のメッセージを伝え、5曲目に「イエスタディ」。しみるメロディラインに刺さる歌詞に全身がしびれる。何よりメンバーも含めて、オーディエンスの笑顔がまぶしかった。楽しいライブはあっという間に感じるもので、続く6曲目の「AREY YOU READY」でラスト。スピーディでアッパーなナンバーで、最後の最後まで楽しそうにプレイしていた4人の姿が忘れられない。最高の音楽やライブに出会うと、暗い気持ちが明るくなったり、嫌だと思う明日が待ち遠しくなったりと、これまでの景色が、がらりと変わることがある。そう、音楽はまるで魔法のような力を持っている。そんなことをBray Meのライブで思い出された。もっともっとと感じた人、私もそうです。次はライブハウスで一緒に彼女達の音を浴びましょう。

ちなみに余談をひとつ。THE ORAL CIGARETTESがMCで、「次のBray Meがすごくカッコイイ」とコメントしていたのですが、それを聞いていた4人が嬉しそうにTHE ORAL CIGARETTESの曲に合わせてステップを踏んでいた姿が、とってもかわいかったです。

<セットリスト>

01.魔法のように
02.サイダー
03.人間らしく
04.Focus
05.イエスタディ
06.ARE YOU READY

文:相沢修一
写真:半田安政