「3ヶ月活休していたけど、本当に支えてくれたのが兄貴分のSiMです。ここでお礼を言わせてください。いつも俺らのピンチを助けてくれる。その分、全力で返したいと思います」。
山中拓也(Vo/Gt)がライブ終盤に差し掛かる前に、ときおり声を震わせながら話したMCである。今年のオーラルのステージはこのMCにすべてが集結していたと言っても過言ではない。この言葉から「前年度、イントロだけやって終わった曲の続きをやります!」と、6曲目「Mr.ファントム」につないだ。DPFに対するオーラルの思いを受け取り、フロアには超巨大なダンスホールが生まれたわけだが妙に心が揺り動かされた瞬間だった。
CAVE STAGEの2番手として登場したオーラル。もはやDEAD POP FESTiVALの大常連だ。超満員のフロアでは、「今日はあの曲をやるかな?」なんて会話があちこちでされていた。
SEから、通常であれば山中による「オーラル始めます」の“口上”が始まるのだが、この日は鈴木重伸(Gt)、あきらかにあきら(Ba/Cho)、中西雅哉(Dr)の3人だけがステージに姿を現し山中がいない。――と思った矢先に、ふっとモニターが点灯し、袖にいる山中が映し出された。そこから、A 3ほどの紙に書かれたメッセージをカメラに向けた。書いてあったのは、「活休中、支えてくれてありがとう」というSiMやファンへの感謝だ。
そこからの“口上”! 最後には、マイクを隣にいたMAHに向け「DPFのTHE ORAL CIGARETTES、始めます!」と無理やり(?)メッセージを読ませ、「Bitch!!」からライブスタート!
「DPFやから、めっちゃたたみかけます!」と、2曲目「DUNK」。この時点ですでにサークルピットとクラウドサーフが大発生。山中が宣言した通り、そのたたみかけは尋常ではなく、「カンタンナコト」で全員ヘッドバンキング、イントロで大歓声を呼んだ「狂乱 Hey Kids!!」では、待ってましたと言わんばかりの大量リフトが発生。
矢継ぎ早に「まだまだやれるか!? もっとヤバいの見たいっすね!」と、踊れて暴れられる新アンセム曲「DIKIDANDAN」へ。曲の中盤では山中の「真ん中、あけようか!」の指示にしたがってウォール・オブ・デスへ誘導。ちなみにオーラルが初めてウォール・オブ・デスを体験したのは2023年のDEAD POP FESTiVALだと思うので、本フェスにおけるオーラルのウォール・オブ・デスは格別なものである、と勝手な個人的解釈を記しておく。そして、冒頭の流れがあり、最後は「接触」で締め。
山中のMC通り、休みなしのノンストップ、オーラルだけのオーラルによる灼熱のノンストップ・ダンスタイムをDPFに生み出すことになった。ライブ終了後、周囲にいたオーディエンスの顔はDEAD POP FESTiVALのフラッグくらい真っ赤っか! みんなちゃんと水分補給してくださいね!
ライブ中盤、「言い方が難しいけど、こういうバンド主催のフェスに出ると自分らのも、先になるかもしれないけどやりたいと思ってしまう」といった内容を、山中は語っていた。その言葉にフロアからは歓声と拍手。
そう、僕らはまたパラデジャが開催される日のことも、ずっと楽しみに待ち続けている。
<セットリスト>
01.Bitch!!
02.DUNK feat. Masato (coldrain)
03.カンタンナコト
04.狂乱 Hey Kids!!
05.DIKIDANDAN
06.Mr.ファントム
07.接触
文:田島諒
写真:鈴木公平