みんなそれぞれ、一度観たら忘れられないライブっていうのがあるはず。それは初めて観たライブかもしれないし、大好きな人と一緒に観たライブかもしれないし、それまで聴いたこともなかったバンドのライブかもしれない。いずれにしても忘れられないライブというのはあるだろうけど、きっとこの日のDPFでたくさんの仲間と観た初参戦のPaleduskのライブは、間違いなく忘れられないものになったはずだ。
今日のPaleduskのライブは、いつもとは違うと感じさせたのはリハから。だってすでにこれは本番じゃね？ って思わせるほどの本気モードだったからだ。それはオーディエンスにも伝染していたようで、ダイバーはいるしモッシュも起きているしと、すでにステージもフロアも準備は完了のよう。こうしてEMINEMの「Lose Yourself」のSEに合わせてステージに再び現れたメンバーは、オーディエンスからの盛大な歓声とハンドクラップの出迎えとともに「AREA PD」をフロアに投下し、本番をスタートさせる。
それはとんでもない音とパフォーマンスだった。映画館で聴くような場内に爆音で響く効果音なんて目じゃない。もっともっと迫力があって、太い芯がある。さらに補足すると、耳で聴くというより体全部で受け止めないと耐えられない音とパフォーマンス。それにとんでもないスピード感。サウンドが聴こえるというのではなく、空気が揺れているのを体で感じているといえばいいのかな。まるで頭の中に音のカタチが鮮やかに生まれてくるようだった。ステージに置かれた巨大なスピーカーから、何度も音が津波となって、オーディエンスに押し寄せてくる。音に溺れそうなるとはこのことで、序盤に挟まれたMCでやっと息ができて安心することができた。それほどに圧倒的なライブだ。「SLAY!!」では「歌うか、死ぬか」とKaito（Vo）は咆哮し、DAIDAI（G）はステージを縦横無人に飛び跳ねと、とんでもないテンションで攻めまくり、「HAPPY TALK」ではSiMを真似して、オーディエンスをしゃがませ、とにかくカオスなステージを披露。
MCではKaitoが、初めてDPFに出られたことの喜びの思いを吐き出した。「俺らはいきなりサブステのトリにきたと思っているかもしれないけど、オーディションでライブ審査に行くこともなく落ちたこともあるからね。でも事実、今ここに立ってるの誰ですかって話！ 来年はあそこ（メイン）でやるから。俺達がSiMになりますから！」とアツく語りかける。こうして披露されたのが最新EPに収録されていて、今の彼らにとって大事な曲、「PALEHELL」だ。始まった途端、オーディエンスの歓声が爆発する。ステージとフロアの熱狂にどんどんと引き込まれていく。曲が止まると不安になってしまいそうだ。さっきまで音に溺れそうになっていたのに、もっともっと観て聴きたくなる。もっと彼らが生み出すサウンドウェーブを体に感じたい。高速で回転するモーターのようにオーディエンスは、高く上げた腕をぶんぶんと振り回していたり、ダイブをしていたりとそれぞれが自由に楽しんでいる。もちろんライブハウスもいいけど、野外で観るライブは格別だ。フロアに混ざれば、学生もサラリーマンも、男も女もない。みんなで最高にイケてるバンドを観て、みんなで叫び、エモーショナルなライブに涙を流したり、笑ったりする。多くの仲間と最高に好きなバンドを間近で観る時間はたまらない。
そしてさらにラストスパートして「RUMBLE」が始まる。サークルモッシュができ上がり、演者もオーディエンスも狂喜乱舞な光景が広がる。ラストは「Q2」。これまた巨大なサークルモッシュができ、ダイバーも大量発生しと、本当にこれが初出場かと考えてしまうほど、オーディエンスとメンバーの息がぴったりで、壮大でドラマティックな場面に思わず涙も出てしまった。今回のPaleduskは間違いなく、DPFヒストリーに大きな爪痕を刻みつけた。そんな彼らはニューEP『PALEHELL』を引っ提げてのツアー中で、7月26日にはワンマンを控えている。今日のライブを観られなかった人は、勢いに乗りまくっている彼らの現在地を絶対に観るべきだし、観た人も行くべきだ。
＜セットリスト＞
- LOSE YOURSELF（SE）
- AREA PD
- SLAY!!
- HAPPY TALK
- I’m ready to die for my friends
- PALEHELL
- RUMBLE
- Q2
文：相沢修一
写真：かわどう