「我を忘れて、盛り上がってくれ!」SiMと北米を回ったFAME ON FIREがDEAD POP FESTiVALに登場

  • 2024年6月29日
  • 0629
  • FAME ON FIRE

太陽が傾き始め、風が涼しくなってきた時間にCHAOS STAGEに登場したFAME ON FIREは、Bryan Kuznitz(Vo)、Blake Saul(G)、Paul Spirou(Ba)、Alex Roman(Dr)からなるフロリダ州パーム・ビーチ出身の4人組ロック・バンドだ。今年の春、SiM初の北米ヘッドラインツアーをサポートした縁で、今回、DEAD POP FESTiVAL出演が決まった――という話はSiMのファンならご存じだろう。

そのFAME ON FIREは多彩なバックグラウンドとユニークな音楽性を印象づける全7曲を披露。ライブは空間系のギター・サウンドとパワフルかつラウドなドラム・サウンドの組み合わせがユニークな「Nightmare」から始まった。観客が早速手を振り始めると、バンドは手拍子を求め、「Everybody put your hands up!」と、その手を頭の上に挙げさせる。続く「Welcome to the chaos」では、Blakeが歪ませた音色で奏でるメタリックなリフに観客がヘッドバンギング。だからと言って、純粋なメタル・ナンバーなのかと言うと、そうではなく、サビは「Nightmare」同様、Bryanが伸びやかな歌声でキャッチーなメロディを歌い上げる。

それがFAME ON FIRE流らしい。

観客をいったんしゃがませ、「1-2-3-Jump!」とジャンプさせた「Ketamine」もエレクトロな音像を鳴らしながら、曲そのものの印象はマイナー調のポップ・ソングだし、ドラム・ベースのビートを同期で鳴らしながら、観客にウォール・オブ・デスを求め、さらに大きな盛り上がりを作った「Spiral」も歌に入ると、ポップ・ソングに変化。そこからさらにBryanのシャウトで、ぐっと熱度を上げる展開がユニークだ。

同期で鳴らしたシンセのリフで繋げた「Chains」はシャウトとキャッチーなサビの組み合わせで、ぐっと観客の気持ちをひきつけたタイミングで、MAHが観客の意表を突くように歌いながらステージに登場。ツアーを共にした盟友のステージを盛り上げようと、MAHが激しいシャウトを繰り広げると、その熱演に応え、観客が渾身のヘッドバンギング!

観客に中指を突き立たせ、Bryanの「Fuck you!」のシャウトから始まった「Cut throat」ではダーク・ウェーブとも言えるゴスっぽい音像を作りながら、最初から最後までシャウトしつづけるBryanの熱演が観客の気持ちに火をつける。

多くの観客の前で演奏できたことに感謝を述べたBryanが「我を忘れて盛り上がってくれ!」と言って、メランコリックなシンセのリフで繋げたラスト・ナンバー「Plastic heart」は、まさかのラップ・ナンバー。シンセのリフをループさせながら、メタリックな音を鳴らすバンドの演奏と、言葉をたたみかけるBryanの力強い歌声に突き動かされ、観客は最後までダイブとモッシュを存分に楽しんだのだった。

  1. Nightmare
  2. Welcome to the chaos
  3. Ketamine
  4. Spiral
  5. Chains
  6. Cut throat
  7. Plastic heart

文:山口智男
写真:半田安政