CAVE STAGEの１番手を務めたのは、5年ぶりにCAVE STAGE出演となるDizzy Sunfist。DEAD POP FESTiVALのタオルを高く掲げてステージに登場したあやぺた（Vo, G）は「アゲー！」と声を上げると、挨拶代わりとばかりにギターを鳴らし感情をたっぷりに湛えて「SHOOTING STAR」を歌い始める。「世界のSiMのDEAD POP FESTiVAL〜！アゲていくぞー！」と開幕宣言して、エモーショナルにCAVE STAGEの幕を開けた。
「No Answer」ではスカのリズムで踊らせ、「Punk Rock Princess」ではバンドの強い決意を力強く歌い上げる。あやぺたが「一番手を任されたからには“アゲぽよ星人“にして帰るわ」と彼女らしい言葉選びで意気込むと、「バンド続けててよかった！って思い出させてくれてありがとう！」と感傷的になった「Someday」、moAi（Dr, Cho）のシャウトとメイ子（Ba, Cho） の歪んだベースソロがさらに焚きつける「Life Is A Suspense」と、ソリッドなパンクロックチューンを次々と投下していく。日本語で優しく歌い上げる「そばにいてよ」で、メッセージをさらに伝えたあとには、手を挙げたりクラップを繰り出したりと「Tonight,Tonight,Tonight」でさらに一体感を増す。
Dizzy Sunfistのデモ時代から気にかけてくれていたというSiMについて「SiMを見ていたら可能性は無限大やなって思います」と憧れる理由を説明して、“夢は死なへん”こと「The Dream Is Not Dead」へ。あやぺたが高く突き上げた拳の先にまっさらな青空が広がる。彼女たちの未来も無限大だ。その直前には「ハジマザにはなかなか呼んでもらえないので頑張ります」と冗談交じりに話していたが、きっと、夢を一つ一つ叶えていっているように見える彼女たちは、でも常にまだ叶えられていない夢のことも見えていて、ずっと悔しさを抱えて、それを原動力に、進んでいっているのだ。
あやぺたが「MAHさんに何度『死ね！』って言われても、長生きしていこうねー！」と笑うと、バンドは＜Life is so beatiful＞と歌う「So Beautiful」で締めくくった。
トレードマークのピンクの髪の毛を振り乱してエクスプローラーをかき鳴らすあやぺた。ショートのセットアップをクールに着こなし歪んだベースを轟かせるメイ子。2人のエモーショナルな歌声にさらに生命力と疾走感をもたらしながらも、遊ぶようにドラムを叩くmoAi（Dr, Cho）。喜びも楽しさも悔しさもすべてを全開にする3人の演奏。曇り空だったはずの空はいつのまにか青空になり、会場には暑い日差しが降り注ぐ。さらに彼女たちのライブ中に、会場近くに止まっていた船舶・玄武が出航した。もちろんいずれも偶然ではあるが、思わず「彼女たちの音につられて」と言いたくなるような求心力がDizzy Sunfistのステージにはあった。
＜セットリスト＞
- SHOOTING STAR
- No Answer
- Andy
- Punk Rock Princess
- Someday
- Life Is A Suspense
- そばにいてよ
- Tonight,Tonight,Tonight
- The Dream Is Not Dead
- So Beautiful
文：小林千絵
写真：鈴木公平