「We are Crystal Lake!」。荘厳なライブを見せつけた圧巻のステージ!

  • 2023年6月25日
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キッズたちの風を切るようなサークルピットにモッシュ。6月のむせるような暑さと匂うような大気。砂煙が舞うたびに昼間の熱でほてった地面がせり上がっていくようだ。でもとても気持ちいい。爆音に合わせて体が自然と動く。今ジャンプすればどこにだっていける気がする。僕らは自由だ。

オーディエンスがごった返すフロアを眺めながら、coldrainからのバトンを受け取り、強烈なエネルギーとヘビーな音を野獣のようなヴォーカルに乗せる。ダメージデニムにブラックのTシャツ。そして頭のテッペンまで入ったタトゥー。体から湯気が出るかのように熱のこもった体で声を震わせるのは、今年新加入したばかりの新ヴォーカルのJohn(Vo)だ。キッズの興奮は高圧電流のようにみんなの間を駆け抜け、あとを追うように歓声の波が押し寄せてくる。そんな新体制のCrystal Lakeによるビックウェーブが東扇島に起きた。ステージを見つめるキッズたちの視線が会場付近の巨大な海水さえ蒸発させそうなくらいに熱くなっている。この日8番手のCrystal LakeがCHAOS STAGEに登場だ。Johnが「We are Crystal Lake!」と咆哮すると、ひと際大きな歓声と手が挙がった。

1曲目は「Mephisto」。ハードコアにパンク、そしてヘビーメタルにミクスチャーと、さまざまなジャンルが遺伝子レベルで融合する。そう、これがCrystal Lakeのオリジナルサウンドだ。キッズの前の一段高くなったステージで、YD(Gt)は体をいっぱいいっぱいに使ってバンドとしてのグルーヴを高めていく。オーディエンスは大きなサークルピットを作り上げながら、ダイブやモッシュと体でリアクションを返す。2曲目の「Six Feet Under」からMCへ。YDが、今日はSiMのイベントでカオスのオリンピックだと話す。出たからには一番になりたいと。興奮するキッズはハンズアップで応え、「Hail To The Fire」に突入。叙情的な曲展開に何度もストームが発生し、オーディエンスを狂乱の渦に巻き込みながら「Prometheus」へ。ドラマティックでエモーショナルなYDとTJ(Gt)のギターの音が、フロアに波紋のように広がっていく。曲が終わり、YDがおれらの音楽は支え合うもので、人間もそうだと、嬉しそうに話していた姿が眩しかった。

続いて名ナンバー「Apollo」が、嵐が吹き荒れたフロアに投下される。感情的で美しく鳴り響くサウンドに、マイクを突き上げるJohnが次々と僕らの想像を超えるエモーショナルなシャウトを繰り出す。ストームで巻き上がる湿った空気が、熱を持ったフロアのキッズの間に染みわたり、感動的な場面を作っていく。その場にいた全員が体の中からありったけの息を吐き出し、歓声が爆発する。周りを見てみると中には目のふちが興奮で濡れている者だっている。Gakuのドラムが、心に突き刺さるビートを刻む。熱い空気を切り裂いて音は駆ける。

Crystal Lakeによる強烈な音で全身が熱くなり、指先まで心臓の鼓動が届いて体が勝手にジャンプしてしまう。そしてラストは、「Lost In Forever」でフィニッシュ。静と動が入り混じった、まさに狂乱のステージ。ライブが終わった今思い出すだけでも胸が熱くなる。まさにステージとフロアに橋がかかったように熱が行き交った新生Crystal Lakeのライブだった。満面の笑顔のYDが、ステージを去り際に「サイコー! まもなくCrystal Lakeのヘッドラインツアーが発表になります!」と話してくれて、キッズたちはさらにサイコーの笑顔で返していたのが、また美しかった。

<セットリスト>
01. Mephisto
02. Six Feet Under
03. Hail To The Fire
04. Mercury
05. Prometheus
06. Apollo
07. Lost In Forever

文:相沢修一
写真:かわどう