「What’s up, DEAD POP!? 待たせたな、おまえら！置いてかれんなよ！」
Masato（Vo）による方向から、「VENA」「NO ESCAPE」「REVOLUTION」とキャッチーなサビを持つcoldrain流のメタルコア・ナンバーをたたみかけるように繋げ、coldrainは観客がぎゅうぎゅうに詰まったCAVE STAGEを文字通り揺らしていった。
ひょっとしたら、今年、coldrainのステージにSiMのMAHがゲストとして登場するんじゃないかと期待していたファンも少なからずいたんじゃないか!? 第1回目からDEAD POP FESTiVALに出演しているcoldrainは、もはや同フェスに欠かせない存在と言ってもいいだろう。しかも、盟友にして、最大のライバルとMAHも言っているのだ。解放、解禁を掲げ、ある意味、マイルストーンとして記憶されることになるに違いない今年のDEAD POP FESTiVALを、より印象に残るものにするためにお互いのステージで共演することは演出として、全然ありだったんじゃないかと思う。しかし、この日、coldrainのステージにMAHを含め、ゲストは1人も登場しなかった。
その理由を、アンセミックな「24-7」「PARADISE （Kill The Silence）」をたたみかけ、観客を思う存分、ジャンプさせてからMasatoはこんなふうに語った。
「DEAD POPは毎年あるからさ、俺らも何やったらカマせられるか考えて、古い曲をやったり、久しぶりにやる曲をやったり、いろいろなゲストを呼んだり、できるだけセコい手を使って潰しにいくんだけど、今年は敢えて、自分達に試練を与えることにした。助けてもらわずにチャレンジ精神で行こうと思う」
なるほど。この日、Masatoが終始、トガりまくっていたように感じられたのは、だからだったのか。曲間にMasatoが語った言葉を拾ってみる。
「うるさい音楽が好きそうですね。DEAD POP！ 解放とかいう言葉はよくわからないけど、好きにやってから帰れよ！」
「クソ暑いからちょっとくらい雨を連れてきたかったけど、SiMのマネージャーに全力で阻止したと言われた。降らせられるまで（DEAD POPに）出てやるよ！」
「仲間だからとかじゃなくて、普段作っている音楽と、おまえらとの繋がりでここに呼ばれたと思ってます！」
どうだろう？ そこには馴れ合いを拒否する向こう意気や、バンドの実力によって、DEAD POP FESTiVALのステージに立つチャンスを勝ちとってきたという誇りが感じられはしないか。当然、自分達だけの力で今年のDEAD POP FESTiVALに大きな足跡を残したいと考えたことだろう。
そして、Masatoが言ったチャレンジ精神は、新曲「NEW DAWN」の初披露に結実。
「初めて出す曲なのに俺には無数のサークルピットが見える！」（Masato）
Masatoがグロウルするハードコア調の導入部からからメロディアスに展開するcoldrainらしいメタルコア・ナンバーだ。ドドドドと地響きのように唸るKatsuma（Dr）のツイン・ペダルの連打。トレモロ・ピッキングを交えたY.K.C.（Gt）の速弾きソロ。リズムを支えながらSugi（Gt, Cho）とRxYxO（Ba, Cho）が加えるシャウトとコーラス。メンバー5人が一丸となった熱い演奏に観客が応え、Masatoの予言が現実のものとなる。
「時間がないからさっさともう1曲やって帰るわ。ありがとう、DEAD POP！」（Masato）
ラストナンバーは、「THE REVELATION」。ダメ押しでCAVE STAGEを揺らすと、Masatoは観客の上にダイブ！ そのまま歌いながら、「こんなの余裕だよ！ 助け合えば、俺達に不可能はない！」と声を上げる。それはMasatoなりの解禁、解放されたDEAD POP FESTiVALへの祝福だったのかもしれない。
「やりたいことをやらせてくれてありがとう！」
ステージを締めくくるMasatoの声が空に響き渡った。
<セットリスト>
01.VENA
02.NO ESCAPE
03.REVOLUTION
04. Rabbit Hole
05.24-7
06.PARADISE (Kill The Silence)
07.NEW DAWN
08.THE REVELATION
文：山口智男
写真：鈴木公平