時刻は14:00を回って、1日でもっとも気温が高い時間帯。めっちゃ暑い灼熱のCAVE STAGEだ。THE ORAL CIGARETTES（以下、オーラル）の昨年に引き続き連続の出演となるのだが、中盤のMCで山中拓也（Vo, Gt）が「DEAD POPって、こんなにあったかかったっけ?」と話す通り、今年のオーラルに対する期待値の高さはハンパなもんではなかった。それは、バンドの活動がDEAD POPのオーディエンスにしっかり届いていたということであり、彼らがCAVE STAGEの上にいた約35分間は、完全にDEAD POP FESTiVAL 2023をロックし、会場を支配しきっていた。
ライブは真っ赤なライトの点灯を伴いつつSEでスタート。メンバーが登場するだけでフロアのアガり方は尋常ではなく、リフトにハンズクラップでオーラルも迎えるや否や、恒例の4つ打ちから「熱中症ギリギリまで楽しんでください!」という山中拓也の宣言で「Red Criminal」へ。ここからラストまで、モッシュとダイブが止まることはなく砂嵐がモクモクと立ち上る結果となっていく。「Red Criminal」の中盤は早くも今日のライブのハイライト。山中拓也が「今日さ、解放でしょ? 俺ら人生初めてのウォール・オブ・デスをやりたいんですけど。SiMのお客さんならやってくれるでしょ?」と、言葉通りの初ウォール・オブ・デスを敢行! 跳ねるビートに乗りながら、オーディエンスは縦横無尽に駆け回り、オーラル流儀のダンス×モッシュなピットが生まれていた。
サークルピットを全員で作り上げた「STARGET」を経てMCタイム。
「今まで「Blah Blah Blah」が始まっても、歌わないでくださいって言われて。そんな簡単に言わないでくださいって」と山中が言えば、『ああ、あの曲ね!』と勘づいたフロアからは大歓声が。「開催してくれたSiMへの愛をのせて、俺がせーのって言ったら＜あぁ そんな簡単に言うな＞って一緒に言ってもらっていですか?」という誘いから、3曲目はもちろん「カンタンナコト」! オーラルきってのアンセムソングであり、この楽曲のイントロで一斉にジャンプするオーディエンスが生み出す地鳴りと揺れが2度目のハイライトとなった。
曲が終わると、山中がDEAD POPとSiMへの感謝を話しながら、このコロナ禍を振り返って、間違いなくSiMが先頭を切ってシーンへアプローチしてくれていたということに対するリスペクトを述べた。
「助けられたことが多すぎて、僕らの世代は何もできていないと思います。だから、近々『PARASITE DEJAVU』（オーラル主催のライブイベント）をやります!」と山中が宣言。そして、次からのやりとりが3度目のハイライトとなる。
「普段はこういうことをしないんですけど、SiMパイセン、出てもらってもいいですか」（山中）
この、まさかのステージ上オファーを受け、袖にいたMAHが何とも言えない表情でステージに登場。
「いや、もう日本だけじゃなくて世界中から来てくださいって言われているからさ。事務所を通してもらっていいですか?（っていうか、開催は）いつ?」（MAH）
という、怒涛の楽屋トークを展開し、これから仕込んだら、こんくらいの時期になるだろうという山中の見立てに対して、「でるでしょう!」とMAHの即答があった。さぁ、このやりとり。見ていた人はわかるだろうけど、絶対に想定外のアドリブで、諸々の大人の事情もあるだろうし、そもそもバンドの状況にもよると思うので、『SiMが即決でパラデジャ出演決定!』とか、SNSに絶対に書くな。きっと、今頃、関係者は困惑している。
そんな度重なるハイライトの連発を経て、シンガロングから始まる「5150」で、再びブチ上げ。ラストは「「Mr.ファントム」と「BLACK MEMORY」、どっちがいい?」とオーディエンスにセレクトさせたうえで、「Mr.ファントム」で締め括った。その盛り上がりたるや、これ以上白熱してしまったら大変なことになってしまうのではないだろうか? というほどに異様な一体感に満ちていた。そして、山中拓也でステージ上でMAHに出演オファーをしてしまうほどに、やはり今年のDEAD POPには感情のタガを外して解き放つような魔力がある。強烈な魔力を持ったまま、CAVE STAGEは2日目の折り返し地点を迎える。
<セットリスト>
01. Red Criminal
02. STARGET
03. カンタンナコト
04. BUG
05. 5150
06. Mr.ファントム
文：田島諒
写真：鈴木公平