日が傾き、ようやく吹き始めた涼しい風が心地いい。そう思ったのも束の間、怒涛という言葉がふさわしいROTTENGRAFFTY(以下ロットン)の熱演によって、CAVE STAGEは再び灼熱の“地獄”と化してしまった。
異論反論はもちろんあると思うが、フェスも含め、これまでロットンのライブを幾度も見てきた経験の中で、これほど凄まじい彼らを見たのは初めてだったかもしれない。
それもそのはず。ロットンがDEAD POP FESTiVALのステージに立つのは、2017年以来のことだ。しかも、それがコロナ禍中の制約からようやく解き放たれたタイミングなのだから、これまで以上に気合が入るのも当然だろう。
「解き放て!解き放て!DEAD POP解放!!」
開口一番に叫んでからN∀OKI(Vo)が歌い始めたのは、代表曲中の代表曲「金色グラフティー」。シンガロングしながらステージに押し寄せる観客にN∀OKIが檄を飛ばす。
「遠慮は要らねえ!輝け!」
サポートメンバーのMASAHIKO(Gt)が奏でるギター・リフとともに侑威地(Ba)、HIROSHI(Dr)の演奏が炸裂。ロットンが1曲目からクライマックスを作ろうとしていることは明らかだ。そんなバンドの思いに観客がダイブ、モッシュ、ダンス、ヘドバンと、うねるように展開する演奏に合わせながら応え、1曲目から前述した“灼熱”の地獄が出現する。「金色グラフティー」なら1曲目からクライマックスに持っていけるというバンドの自信を感じずにいられなかった。しかし、重要なのはもしかしたら、そこからエレクトロなサウンドを巧みに使った「D.A.N.C.E」、ロットン流歌謡ロックの「秋桜」とたたみかけ、「金色グラフティー」の盛り上がりをさらに大きなものにしていったことかもしれない。
笑顔でぶつかりあう観客の姿を見ながら、「この景色を3年間待ってたよ!」とNOBUYA(Vo)が快哉を叫び、「(だったら)死ぬ気でかかってこい!」と煽ってから、演奏したラップ・ロック・ナンバー「THIS WORLD」では、そのNOBUYAとN∀OKIがステージからダイブして、ガッツとともに観客を暴れさせることにかけては誰にも負けないライブ・バンドの矜持を見せ付ける。
「ライブハウス最強のバンド、ROTTENGRAFFTYです。よろしく!」とNOBUYAが声を上げる。
「この大事な場所に、何かが変わっていく、こんな大事な場所にロットンを呼んでくれてありがとう! 呼ばれたからには、脳裏に焼き付け、細胞に刻み込む。おまえらもそういう2日間にしてくれ。ここからさらに、みんなで変えていこう!」(N∀OKI)
「しっかりみんなで未来に繋げていきましょう。どのバンドのタオルでもいいから掲げてくれ!」(NOBUYA)と観客全員にタオルを掲げさせながら、バラードの「ハロー、ハロー」をじっくりと聴かせ、観客の気持ちを一つにすると、「零戦SOUNDSYSTEM」「ハレルヤ」とダイブおよぶモッシュ必至の2曲を繋げ、トドメを刺す! 観客を暴れ倒させ、踊り狂わせるという意味のライブ・アンセムをどれだけレパートリーとして持っているんだ⁉ 結成からほぼ4半世紀。ライブハウスを主戦場としてきたバンドの底力を改めて、まざまざと見せつけるような怒涛の35分だったのだ。
<セットリスト>
01.金色グラフティー
02.D.A.N.C.E
03.秋桜
04.THIS WORLD
05.ハロー、ハロー
06.零戦SOUNDSYSTEM
07.ハレルヤ
文:山口智男
写真:かわどう