ライブ開始を告げるSEが流れめると同時にけたたましいクラップハンズがCAVE STAGEを覆う。ふんわりとした前方エリアではオーディエンスが前へ前へグイーッと押し寄せて、空いた後方スペースには人がなだれ込むような様相が広がった。CAVE STAGE 4番手、Fear,and Loathing in Las Vegas（以下、ラスベガス）。メンバーが飛び跳ねながら次々にステージへ躍り出てきて、「DEAD POP! 死ぬまで踊って、ポップに狂っていくぞ!」So（Vo/Prog）の宣言から1曲目「Return to Zero」のイントロへ。Minami（Vo/Key）のシャウトにオイ! オイ!と応じる歓声が溢れライブがスタートした。
2年ぶりのDEAD POP出演となるラスベガスだが、以前も1曲目は「Return to Zero」だった。あの頃と異なるのは、今年のDEAD POPが“解”であるという点だ。すぐさま大きなモッシュピットができたことは言うまでもないが、ダンスパートにおいても、フロアとの息が今年もバッチリ。これは、ラスベガスらしい破茶滅茶なことになるぞ……と、2年前以上にワクワクが止まらなかった。
その高揚感に応えるかのように「Greedy」では、2バス×メタリックなリフに合わせて、オーディエンスはフルスイングのヘッドバンギング! からのジャンプ! に加えて、ツーステップとモッシュがミックスされたようなダンス! を次々に繰り出し、ステージと完璧過ぎるほどのシンクロしていた。DEAD POPのフロア、恐るべしだ。
MCでは「待ちに待った全解放ということで全部とっぱらってむちゃくちゃやりたい。ラッキーでハッピーで最高な日にしたい」といったことをSoが話し、常に臨戦状態のフロアを煽りに煽って、フェスにおけるアンセム的1曲「Rave-up Tonight」へ繋いだ。イントロではブルーのライトが照らされ、CAVE STAGEのフロアは一気にクラブへ豹変。ダンスで極限までアガりにアガる時間へと移行した。これは次の「Shake Your Body」を含めて、全曲に言えることなのが、ビートに合わせて後方エリアでは押しては寄せる波のようなモッシュピットが繰り返し起こっていた。四つ打ちビートに合わせてのモッシュピットだから、ダンスを主としていてポゴっぽくもあり、どこかハッピーな空気感がある。
SiMとの繋がりを話しつつ、当時の思い出と照らし合わせながら「前は誰もいなくなったライブハウスでの打ち上げで、ぬるくなった一升瓶の日本酒を酌み交わしたけど、今日は冷えた日本酒で乾杯したい」と、今年のDEAD POP FESTiVALがコロナ禍以前と同じように開催されたことへの祝辞述べた。
SiMへのバトンを繋ぐべく、新曲と紹介した「Dive in Your Faith」で、さらにフロアをヒートアップさせ、「Virtue and Vice」では、待ってましたのタケノコダンス&ヘッドバンギング。ラストは「全員で最高の思い出を作るぞ!」というSoの言葉から始まった「Luck Will Be There」で、多幸感溢れる時間を共有しながら踊り狂い、終演後は興奮冷めやらぬフロアへ、メンバーは笑顔で手を振りながらCAVE STAGEを後にした。
今年、15周年イヤーを歩むラスベガス。9月22日には日本武道館公演も控えている。貫禄すらも漂わせながら、単純に暴れるだけではなく、ダンスから得られる喜びを放出するような、祝祭めいた空間を作り上げてくれた。
<セットリスト>
01.Return to Zero
02.Greedy
03.Rave-up Tonight
04.Shake Your Body
05.Dive in Your Faith
06.Virtue and Vice
07.Luck Will Be There
文：田島諒
写真：鈴木公平