思い出に残るライブを観たときの衝撃を覚えてますか? 体に電気が走ったというか「うぉーーー!」ってなって心がアツくなる瞬間というか。それって好きなバンドに出会えた瞬間にも似ているかもしれません。例えば、友達に紹介されてイヤフォンごしに聴いた瞬間かもしれないし、テレビで一瞬だけど流れた瞬間かもしれない。もしくは、YouTubeにラジオにと、さまざまな場面でバンドとの衝撃的な出会いがあるでしょう。僕はこの日、「DEAD POP FESTiVAL」でSHANKのライブを観てそんな衝撃を受けました。「うわ! え!?」「ヤバッ!」「かっこいい!」そんな言葉とともに背筋がゾゾっと震えて、胸が締め付けられた。このライブを忘れてはいけない。そんなヤバすぎたライブが、CHAOSステージ2番手のSHANKでした。とにかくやばかったー!
SHANKは、2004年に長崎県で結成された3ピースバンド。メンバーは、庵原将平(Vo,Ba)、松崎兵太(Gt,Cho)、池本雄季(Dr,Cho)の3人なんだけども、3人組とは思えないパワフルでエモーショナルな演奏に毎回圧倒されています。「DEAD POP FESTiVAL」は2012年からで、今回で7回目。
この日は、リハの段階から準備万端なよう。オーディエンスもリハというのを忘れ、それぞれ手を挙げたり、ステップを踏んだりしている。と、リハのまま「おはようございます、SHANKです」と庵原が挨拶して本編がスタート。まずは「Wall Ride」。緩急ある曲にオーディエンスはハンズアップにダイブと曲の展開に合わせて応戦し、体をならしていく。続くは「Good Night Darling」の人気曲をフロアに放り込む。楽しそうにプレイするメンバーに、会場の奥の奥までハンズアップするオーディエンスが印象的だった。曲が終わり、庵原が「よかったね。晴れてみんな。って曲です」と、「Weather is Beautiful」をプレイ。エモーショナルなナンバーに心地よいヴォーカルが気持ちいい。ここでMCが入り、庵原が呼んでくれたSiMに感謝を伝えながら「この場を任せてくれてありがとう。とりあえず任せとってくれ」と話し、「Departure」を披露する。美しいヴォーカルが空に抜けていく。そしてみんなのクラップハンズがより歌声と曲を空へと持ち上げていく。その光景をステージ袖から微笑みながら観ていたSHOW-HATE(SiM)の姿に、SHNAKにこのステージを託している気持ちが伝わってきた。
ここからは「Life is…」「Two sweet coffees a day」「620」と、間髪入れず叩き込むスカ調なナンバーに、オーディエンスはスカダンスにダイブ、ハンズアップと思い思いの気持ちで応えていく。そしてMCでは「なんやおまえら! ごちゃごちゃありがとう!」と話す庵原の顔は喜びにあふれていた。そう、SHANKの魅力といえば、何事も受け入れてくれる人間力もある。オーディエンスが多少のやんちゃをしていても、優しく受け入れてくれて、温かい距離感で楽しませてくれる。それでいてモッシュすると曲で煽ってくれたりもして、もっともっとって動き回りたくなる。なんていうか、とっても居心地がいい。どうしてこんなにも彼らが奏でる音は、激しいのにどこか優しいのだろうか。それはオーディエンスの多くがいろんなところから来ているのを知っていて、どうしたら楽しんでもらえるかを必死に考えて、セットリスト決めて音を鳴らしているからかもしれない。気持ちが音に乗っているんだろう。だからそんな優しさを受ける僕の心は、どんどん温かくなっていくんだろう。そう、SHANKとオーディエンスはしっかりとした絆で結ばれているんだ。
終盤には「Set the fire」の名ナンバーを入れ込みながら、「SiM、愛してるよ」と「BASIC」でフィニッシュ。誰もがものすごく楽しそうに体を揺らしている姿を観るのは、やっぱりとても嬉しいもの。この気持ちはきっと、周りにも伝染していたはず。理由はうまく説明できないけれど、いいバンドだなって思わせられた瞬間だ。こうしてSHANKのライブが終わり、東扇島公園に広がる雲から太陽が顔を出した。この美しい景色に、火照る体と胸がじーんと熱くなった。
<セットリスト>
01.Wall Ride
02.Good Night Darling
03.Weather is Beautiful
04.Departure
05.Life is…
06.Two sweet coffees a day
07.620
08.Isn’t She Lovely
09.Set the fire
10.Movie
11.BASIC
文:相沢修一
写真:半田安政