BAD BRAINS。SiMの影響源の一つであるハードコア・パンク・バンドのTシャツを猪狩秀平(Vo/G)は着込み、パフォーマンス面では「TRIPLE AXE」の絆を思いっきり爆発させていた。しかも仕込みなしのサプライズも、あり。
SEが流れると、猪狩、Yuji(Vo/Ba)、満(Sax)、イイカワケン(Tp)、かなす(Tb)、Task-n(Dr)のメンバー6人が勢揃い。「DEAD POP、お前の生きざま見せてみろー!」と猪狩は吠え、「Living In My Skin」から凄まじいスタートダッシュ。高速のスカリズムに、観客もスカダンスで全力で応える。同郷・大阪のKNUCKLESのカヴァー「Radio」に移ると、さらなるスカダンス天国に誘う、とんでもない盛り上がりを記録した。
「この青空に響かせろ!」という言葉と共に披露された「California」は突き抜けるサビが気持ちよく、野外というシチュエーションにこれ以上ハマる楽曲もほかにない。後半にはなんとcoldrainのMasato(Vo)がステージにダダーッと駆け寄り、Yujiの肩に手を掛けると、そのまま楽しそうな笑顔で熱唱。その姿を見た猪狩は演奏中にもかかわらず、「アッハハハハ!」と大笑いしていた。TRIPLE AXEの絆パート1は、まさかのMasatoサプライズ。
「勝手に歌ってきやがった、あいつ。Masatoありがとう!DEAD POP開催おめでとうー! やばいやん、心に響いちゃったんじゃないの? 音楽って、これやねんなあ。やっぱり音楽やんけ。お前が持ってるどうしようもない気持ち、俺はそれに向けてずっと歌ってんねん、コロナになっても。今日も同じやぞ、本気で行くぞ!」と興奮気味の猪狩。
そのテンションのまま、エッジ鋭いリフを刻むと、「Be The One」を投下。メタル、スカ、パンクとHEY-SMITH全部乗せ、1曲でフルコースみたいな曲調に「CAVE STAGE」は大盛り上がり。今日の炎天下を忘れるほど、観客は騒ぎまくっていた。これぞ、音楽の力と言っていい。
「もうすぐそこまで来てる。感情を開放しろ!」、「沸き上がっちゃったら、しょうがないんじゃないの?知らんけど」と猪狩らしいMCを挟み、「Over」、「Summer Breeze」と立て続けに披露。
「SiMとの付き合いは信じられないくらい古いから。『Proud and Loud』(1stアルバム)、『14-Fourteen』(2ndアルバム)、デモCDから曲をやる!」と宣言。
まずは『14-Fourteen』から「I’m In Dream」と「I Believe」、続けてデモCDから「Everlasting」と「Drug Free Japan」、ラストスパートは『Proud and Loud』から「We sing our song」と「Come back my dog」を見舞い、TRIPLE AXEの絆パート2と言える怒涛の攻めっぷりで、「CAVE STAGE」を興奮のるつぼ化させたHEY-SMITH。
仲間のフェスに対する底なしの愛情を示しながら、一方でコロナがなかった10数年前の自由なマインドを思い起こせ!と観客を焚きつける最強のパンク・ショウを叩きつけてくれた。
<セットリスト>
1.Living In My Skin
2.Radio
3.California
4.Be The One
5.Over
6.Summer Breeze
7.I’m In Dream
8.I Believe
9.Everlasting
10.Drug Free Japan
11.We sing our song
12.Come back my dog
文:荒金良介
写真:鈴木公平