「そろそろ本気出しましょうか、デッドポップ」と焚きつけたのは、DEAD POP FESTiVAL常連、もはや説明不要のcoldrain。1曲目に「The Revelation」を持ってきた時点で、coldrainも“本気”でやってきていることが明白だった。Masato（Vo）がグロウルを響き渡らせると、一瞬でヘドバンの嵐。会場には強風が吹いていたが、そんなもの吹き飛ばせそうなほど。もはや真夏日で強風という川崎の天候よりも、coldrainのライヴのほうが熱く、強い風が吹き荒れている。……っていうか、これ、まだ１曲目なんですよ。本当に!? と思っていたら、次はMasatoが「約束してくれ、俺が『飛べ』って言ったら、これくらいじゃなく、これくらい飛んでくれ」と高く飛び跳ねる。
オーディエンスが滾ったところで、「お前らに捧げるぜ、デッドポップ！」と始まったのは「EVOLVE」。Masatoが満を辞して「飛べ！」と言えば、今度は一斉に大ジャンプが多発する。すでにめちゃくちゃ楽しいのに、次はMasatoが「クソ暑いけど楽しいことやりますか」と言い、全員を座らせてから「PARADISE(Kill The Silence)」を始めれば、曲の始まりから一斉に全員がジャンプ。冒頭3曲でこのセットリストに、この盛り上がり。coldrain、本気出しすぎ！
「炎天下なのにすいません。coldrainはもうちょっと優しいので、俺らは（主催フェスを）屋内でやってます。冬です。全バンド照明あります」と笑いながら、愛情たっぷりにDEAD POP FESTiVALを語る。するとステージ袖で見ていたMAH（SiM）が飛び出して「ただ、（「BLARE FEST.」は）何年に1回しかやりません！」と応戦。彼ららしいやり方で互いへのリスペクトを表した。
「デッドポップだから激しい曲を持ってきました」と言って「24-7」を投下すれば、MCでいったんクールダウンしていたフロアは一瞬で再燃。この曲でも全員を座らせて一斉にジャンプさせてさらにヒートアップさせた。するとMasatoが「立ったり座ったりしんどいからさ、次の曲は座って聞いてもらっても構いません」と一度、観客を座らせる。「立つか座るか自分で決めてください」と告げて、ミディアムチューン……かと思いきや、Sugi（G）がリフを弾き始めた瞬間に観客は「ENVY」であることに気づき、即座にジャンプ。去年も「バラードをやる」と言っておいて、ハードナンバーをドロップしたcoldrain。今年もやってくれたなーと、思わず笑ってしまう。これもまた、coldrainの“本気”だ。
7月6日リリースの7thフルアルバム「Nonnegative」収録曲「Before I Go」では、Katsuma（Dr）の軽やかなドラムとY.K.C（G）のアルペジオが心地よく海風に乗る。さらにRxYxO（Ba）とSugiが担うシンガロングパートはおそらくコロナ禍の終息後への思いを託したのだろう。Masatoが「来年は一緒に歌おう、デッドポップ！」と言っていたが、来年はこのパートがシンガロングできているといいなあ。なんて考えている暇もなく、最後に「Final destination」がドロップされ、最初から最後まで、本気のcoldrainだった。
<セットリスト>
1.The Revelation
2.EVOLVE
3.PARADISE(Kill The Silence)
4.24-7
5.ENVY
6.Before I Go
7.Final destination
文：小林千絵
写真：鈴木公平