DEAD POP FESTiVAL 2021も早いもので終盤戦。初っ端のHEY-SMITHから最前線で頭と手を振り続けてきた人も、マキシマム ザ ホルモンでHPを全部持っていかれたしまった人も、あっこゴリラのライブを浴びればエネルギーフル充電完了。こっから、もっかいアゲていける。パッションとエナジーあふれるあっこゴリラの時間はDEAD POPのベホマズン or ケアルガだ。
ギター、ベースにドラム、シンセとバンドセットを率いて登場したあっこゴリラ、前方エリアにスペースがあることを確認すると、柵の外で手を振るオーディエンスに向かって「みんな! (前方エリアへ申し込んでいない人も)中に入っちゃっていいって言ってた! いいよ! みんな入っちゃって~」と声をかけ、わーっと大勢の人が走り込んでいった。アッという間に埋まったフロアを見て「いい感じ~、あっこゴリラです! よろしくー」と笑いかけて「TRACK GRRRL」でライブスタート。右に左に、ビートの合わせて縦横無尽に動き回りながらラップし続けるあっこゴリラのステージを観て、オーディエンスは自然とハンズアップ。いや、ふとこの光景を見て勝手に思ったんだが、HIPHOPの現場って、基本的にハンズアップとビートに身体を預けて揺れることでリアクションを取っていくわけで(モッシュも起こるけど)そう考えると、コロナ時代のラウドやパンクのノリ方の先輩ってHIPHOPシーンなんじゃないの? と。というのも、オーディエンスが自然とトラックに合わせて身体を揺らせながら、あっこゴリラの音楽に合わせて当たり前に楽しんでいるもので、こりゃー”壁”、とっくに壊れてたっぽいな、と感じた次第。
「あっこゴリラです! 名前の由来はー……ノリでーす! ノリなのに、ま・さ・かの! ホルモン先輩がいじってくれるとはね!」と、自身の前に登場したCAVE STAGEでのマキシマム ザ ホルモンのライブに触れた。「よくわかんねぇでOK! ノリ方なんて適当でOK!」から次曲「余裕」に。別に自分のことや曲を知らなくてもいいから思うままに好きに楽しんで大丈夫! ラップの合間にも「好きなものを好きって言え!」といった言葉を織り交ぜながら、ちょっとシャイな我々の背中を押してくれた。そんなわけで『あ、いいんだ!』って感じで、どんどん楽しく踊り出したDEAD POPのフロア。あっこゴリラは、ちょっと緊張してそうな会場の空気を笑顔と言葉ですぐに柔らかくして、自分の世界へ力強く引き込んでくれた。
MCタイムでは「1つ思ったんだけど、DEAD POP2年ぶりで、(コロナ禍でライブ中に)声を出すことができないぶん、踊りのスキルが上がってない!?」と、しっかりライブについてくるオーディエンスに声をかけて、一層一体感を高めていく。MCは次第にフリースタイルラップへ移行していき「決まりなんて音楽にないんだから」、「アガってるヤツらは手あげなーー」と、どんどん空気を温めていった。「口を閉じながらコール&レスポンス!」では、その文字通りにオーディエンスも「ン~ン~♪」と声を出し合って拍手。そして、鳴りやないビートは次第にコロナ禍以降に制作された楽曲である「Say Hello」。続いて「I’m here」に。この辺りの楽曲はリリースされたばかりの新作ミックステープ『NINGEN GOKAKU』にも収録されているのでチェックしていただきたい。
徐々にBPMがアップしていくビートに合わせて「GRRRLISM」。曲終盤に「私の身体は私のものだ! 君の人生は君のものだ!」と叫び、ライブでも人気曲「ゲリラ」へ。『ゲリラ豪雨 ゲリラ豪雨 ゲリラ豪雨』のサビパートはオーディエンスも心で歌いたくなるパンチライン。一緒に歌うアクションを手を挙げてリアクション。最後には「こうして時間を共有できてうれしいです」とフロアに語りかけ「わかんなくても生きてりゃ全然OK! だって WE ARE フリージェンダー!」から「ウルトラジェンダー」へ。この曲、途中のリリックに『ブラブラ スカスカ 盛りブラ盛りすぎか』という一節があるのだが、ここでなんと、あっこゴリラは胸元に仕込んでいたタオルをパッと取り出すというアクト! 前で踊っていたガールズがわーっとジャンプしながら喜びを表現するという光景もあって、DEAD POPが最高のダンスホールへと変わっちゃってました。
あっこゴリラは、終始、自分らしく、人生を楽しく生きることを音楽を通して訴えかけた。これは、ライブ活動や音楽だけではなく、あらゆる発信を通して、あっこゴリラが伝えているメッセージでもある。そんな風に人生を楽しめばいい、一緒にどうすれば考えよう、といったことを言ってくれる人は、今の時代、本当に少ない。だからこそ、弾けるような笑顔とパワフルなアクトで言葉を伝えてくれるあっこゴリラに、みんな魅了されてしまうんだ。
<セットリスト>
1.100%AKKOGORILLA
2.TRACK GRRRL
3.余裕
4.Say Hello
5.I’m here
6.GRRRLISM
7.ゲリラ
8.ウルトラジェンダー
文:田島諒
写真:半田安政