「僕らは変わらず遊ぶんで」いつも通りの、これまで通りに最高のパンクロックショウ

  • 2021年6月27日
  • 0627

DEAD POP FESTiVAL 2021、2日目。ここからはパンクロックショウタイムが東扇島東公園に到来。4番手、CHAOS STAGEにはSHANKが登場だ。みなさん、SHANKですよ。そうですよ、あのSHANKです。いろんな意味をひっくるめて、いつも通りの最高のパンクロックショウに決まってんだろうが。だって、SHANKだもん。言葉必要ありますか? ないでしょう! どんなライブだったのかはセットリストをご確認いただくのが1番早く、そしてわかりやすい。あとは写真を見ればいい、一目瞭然だろうが! はい、以上。

で、本レポートを締めくくりたいところだが、30分間ぶっ通しの久しぶりのSHANKのライブを観て完全にクラッてしまったので少しだけ駄文、お付き合い願いたい。

CrossfaithがCAVE STAGEのステージを破壊するんじゃないかってほどの轟音と爆裂アクトを叩きに叩きつけた後、くるりとCHAOS STAGEを振り返る。そこにはSHANK3人の姿がいつも通りあって、何年も前からの同じスタイルで音出しを行っていた。前方エリアにやってくるオーディエンスは、そのリハの演奏にのって手を上げたり、スカのリズムに合わせてステップを踏んだり。しばしの確認の後、庵原将平(Vo, Ba)の「大丈夫でーす」に合わせて場内からは拍手。3人は遠くから見守るファンにも手を振って一旦、ステージ袖へ。

ライブはSEが定刻で流れ出してスタート。庵原は深くお辞儀をし、拳を高く掲げて1曲め「Set the fire」に。うわ、いきなり「Set the fire」かよって思ったのは私だけではない。歓声よろしくジャンプや手を振って、その喜びをステージに伝えんとするオーディエンス。「Oi! Oi!」の掛け声は頭の中で、インサイド・シンガロングで。SHANK3人のライブアクトは本当にいつも通りだ。続いて『Candy Cruise EP』より「Rising Down」。「620」ではDEAD POPの空気感にピッタリ噛み合うレゲエ調のイントロから、お待ちかねのスカパートが到来するとオーディエンスは各々ポールの前でステップを。庵原も松崎兵太(Gt, Cho)も間奏の部分では、それぞれステージ前方に進んでオーディエンスとのアイコンタクトを取る。これが、まぁ、これまで通りなのだが、完璧に息が合っていて、ごく自然にスムーズにステージを動き回る2人の姿を観ていると、SHANKが百戦錬磨の生粋のパンクバンドだってことを再認識させられてテンションが上がってしまう。

一気に3曲届けたところでチューニング&MCタイムに。「どうも、僕らが長崎のSHANKです。SiM、開催おめでとう。やれてよかった。SHANK、コロナでも死んでなかったってところ見せて帰るんでよろしく」と庵原。手短な挨拶ではあるけども、この「やれてよかった」が本当に真摯に響いて、自分ごとのように話す姿に心が動かされた。自らもローカルである長崎でBLAZE UP NAGASAKIを主催しているSHANKである。このコロナ禍の中で、自身が先頭に立ってフェスを主催することがどういうことなのかを深く知っているからこそ、その言葉が強く響いた。

そこから「コロナ禍に出来た曲をやります。もうちょい明るい方に目を向けようって曲です」という紹介から『Candy Cruise EP』収録の「Bright Side」に。続いて「私、日々、反省の毎日でございます」と庵原が言えば、そう、SHANKのライブを知っている人ならわかるでしょう、「Take Me Back」でございます。オーディエンスはスカのリズムでステップを踏んだかと思えば、展開に合わせて手をパッと挙げ、再びステップに戻ったり手を振ったり。全員の動きがピタッと合っていて、これまでであればモッシュパートだったはずのところを、こんなに身振り手振りだけでSHANKの曲に合わせられるなんて、DEAD POPのお客さん、すげぇな! と、思いました、マジで。どこかでリハでもしてたの?

庵原が「チューニングするけん、しゃべっといて?」と松崎に振ると、すかさず娘の話しに。「この間、娘の友達がバンって入ってきて「今日(松崎の娘が)お父さんのこと、ブタって言ってたよ!」って」というエピソードに、「がんばれ、兵太。いいことあるって、生きてれば」と笑顔で返す庵原。フロアからも我慢しきれず笑い声が溢れたが、MCから間髪入れずに「Good Night Darling」でライブにバック。いよいよ名曲のオンパレードで熱気が高まりきってきた。高速ビートの多いSHANKである。これまでは左回りのサークルモッシュをしたくなるところではあるが、それはできない。しかし、回りたい。そんなことを思い描いている私を含むオーディエンスが編み出したのは頭を前後左右に高速で動かすヘッドモッシュである。気づけば腰を入れて頭を振っていた(ヘッドバンキングとは違いますよ)。

「いろいろと言いたいことはあるけど時間ないんで。SiM、ありがとう! 大好きです。DEAD POPありがとう!」と満面の笑みで庵原は話し、その感謝を示すように「My sweet universe」に。続いて、「Yes! 「Honesty」!」と叫び、ラストは、これまたド名曲「Cigar Store」で締めくくった。

庵原は「My sweet universe」演奏前に「(コロナ禍の)状況が変わるか変わらないのかわからないですけど、僕らは変わらず遊ぶんで」と話していたが、その通り。SHANK自体は時代が変わったからといって何も変わらない。いつも通りの最高のパンクロックショウを提示してくれた。そんなSHANKの次のライブはいつかというと……明日だ! 場所はF.A.D YOKOHAMAだ! そう、SHANKは今、ツアーの真っ最中なのである。そんな中でのDEAD POPのSHANK。最高じゃないっすか。

 

<セットリスト>
1.Set the fire
2.Rising Down
3.620
4.Departure
5.Bright Side
6.Take Me Back
7.Good Night Darling
8.My sweet universe
9.Honesty
10.Cigar Store

文:田島諒
写真:半田安政