CrossfaithとMAH(SiM)の共闘で果たした2020年のリベンジ

  • 2021年6月27日
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煽情的なシンセ・サウンドに合わせ、Teru(Programming/Vo)がお立ち台の上で観客を煽る中、バンド・フラッグを振るKoieら、メンバーたちが悠々とステージに出てきたものだから、ついつい油断していたら、「かかって来いよ!」とKoie(Vo)があげた雄叫びから、いきなり「XENO」になだれ込んだバンドの演奏の勢いはあっという間にレッドゾーンに突入! そんな勢いに振り落とされそうになりながら、観客たちは演奏に合わせ、ジャンプしたり、首がもげるんじゃないかというくらいヘドバンしたり、手拍子したり、「手を挙げろ!」と言うKoieに応え、拳を振ったりしながら、必死に食らいつき、大きな盛り上がりを作っていった。

「System X」から「Freedom」まで、Crossfaithの神髄と言える代表曲をたたみかけるように繋げた前半戦は、まさに怒涛という言葉がぴったりだ。フロントマンのKoieとアジテーターを務めるTeruはもちろん、Kazuki(Gt)、Hiro(Ba)、Tatsuya(Dr)も含め、メンバー全員が大きなアクションで暴れまわるパフォーマンスも華がある。それぞれにキャラクターが際立っているところがいい。

そんなことを改めて考えていたら、「新しい(ライブの)スタイルどうですか? 俺たちのライブにルールはあっても、壁はありません。おまえらの心の中のエネルギーはびんびん届いてる。俺たちも100%で行くんで、おまえらも100%で来てください」と語ったKoieからサプライズプレゼントが!

「イギリスからスペシャル・メッセージが届いています!」とKoieの合図でステージ脇のビジョンに映し出されたのはレゲエ・パンク・バンド、Skindredのフロントマン、Benjiだ。

「CrossfaithとSiMが俺たちの「Warning」をやってくれるらしいぜ!」

なんでも、Skindredは昨年のDEAD POPに初の海外バンドとして出演が決まっていたという。しかし、開催が中止に追い込まれたことはご存じの通り。しかも、今年もまだ、海外からバンドを迎えるのは難しいということで――

「SiMから直々、代わりにCrossfaithに出て欲しい、と。それならおもしろいことをしようと思った」

そう語ると、KoieはSiMのMAHを呼び込み、前述したとおり、Skindredの「Warning」を披露(昨日、Mighty Crownがこの曲をプレイしたのは、この伏線だったのか⁉)。ワイパー、さらにはタオル回しを求めたKoieに観客全員が応え、作り出した壮観な景色は今回のCrossfaithのライブの一番の見どころだったと思う。しかし、筆者が一番の見どころだと思ったのは一体感を味わったからだけではない。理由はもう1つある。

MAHを送り出したKoieは観客全員に中指を突き立たせ、こう言った。

「気に入らないこと、納得行かないことたくさんあるよな。俺たちはそれをなくそうとしてるわけではない。それに抗おうとしてるんだ!」

たぶん、出演が決まっていながら、ついに出演が叶わなかったSkindredの曲を、DEAD POPの主催者であるSiMのMAHとともに歌うことは、中止に追い込まれた昨年のDEAD POPのリベンジだったのだと思う。中止に追い込まれたことを、しかたないこととして忘れるのではなく、ライブの演出としても楽しませながら、今一度、この日、ここに集まった全員の記憶に刻み込む。

Koieが言った「抗おうとしている」という言葉から筆者はそんなことを思った。ロック・バンドはそうやって悔しいことも楽しいことも糧にしながら前に進んでいくのだ。

「ぶっ壊れようぜ!」

Koieが観客に呼びかけ、バンドが最後に披露したのが「Countdown To Hell」。

ステージの櫓によじ登って、Teruが観客を煽る中、「おまえらの限界を見せろ!」と求めたKoieに応え、観客全員が渾身のヘドバンをしたのだった。

<セットリスト>
1.System X
2.Xeno
3.Monolith
4.Dead or Alive
5.Freedom
6.Warning feat. MAH from SiM (Skindred Cover)
7.Countdown To Hell

文:山口智男
写真:鈴木公平