「CAVE STAGE」でHEY-SMITHがトップを飾った後、この「CHAOS STAGE」の切り込み隊長を担ったのは我らがSHADOWSである。ラウドなメンツが勢揃いの本フェスにおいて、彼らの存在は欠かせない。とはいえ、コロナ禍の影響を受け、バンドは1年以上ライヴ休止状態に陥っていた。その溜まりに溜まった感情をスパークさせるべく、Hiro(Vo)、Kazuki(G/Vo)、Takahiro(G/Vo)のフロント3人が揃い、introで呼吸を整え、1曲目「Fail」から激重サウンドをブッ放す。ハードコア度アップの「So What」に入ると、暴虐的な演奏は加速を遂げ、様子見だった観客も力技で巻き込んでいった。しかし、彼らの本領はまだまだこんなものではないと内心思いつつ、SLAYERばりの切っ先鋭いザクザクリフを配した「Senses」をプレイ。するとヘドバンに興じる観客たちを増殖させ、まさにカオスな地獄絵図を作り上げていた。
「Into The Line」、「My Direction」をやり終えると、「朝っぱらからありがとうございます! こないだ1年数ヵ月ぶりにライヴをやって、おっかねぇなって」とHiro。「ライヴできるのは全部SiMのおかげ!」とKazukiが続き、久々に人前でライヴができる感覚を取り戻している最中なのだろう。
後半はキャッチーな歌メロが突き刺さる「All I Want」、グルーヴィーなリフに惹かれる「Chain Reaction」と畳み掛け、バンドのエンジンはますます全開だ。
「去年は1年が早く感じた。今年は色づけていきたいと思います。共に前に進んでください!」とHiroは前置きして「Progress」へ。重厚なリズムに身を委ねる人々の光景を見て、「共に成長して、共に進化していきましょう!」と曲中に親しげに声をかけるHiro。そんな人間臭い部分も垣間見せながら、ラスト曲「BEK」でもフィジカルに訴える強力なグルーヴを叩きつけ、「CHAOS STAGE」の観客を見事に束ねていた。
モッシュ/ダイブができない昨今においても、SHADOWSの華やかな初期衝動サウンドは微塵も輝きを失わない。それを改めて思い知る最狂のステージングであった。
<セットリスト>
1.Fail
2.So What
3.Senses
4.Into The Line
5.My Direction
6.All I Want
7.Chain Reaction
8.Progress
9.BEK
文:荒金良介
写真:半田安政