今日聴いた「Blah Blah Blah」は一生忘れないだろう。
「DEAD POP FESTiVAL 2021」初日のトリとして、薄暗くなった「CAVE STAGE」に降臨したSiM。SHOW-HATE（G）、SIN（B）、GODRi（Dr）、最後にMAH（Vo）がゆっくりステージに現れ、クリーンボイスで鮮やかに歌い上げると、「Get Up,Get Up」でショウは始まった。SHOW-HATE、SINは体の周りで楽器をグルグル回す恒例のパフォーマンスを魅せ、観る者を視覚面からも焚きつけていく。シアトリカルな「Amy」では芝生の上でツーステップを踏む人たちが溢れ、早くも狂乱図を作り上げていった。
ここから昨年6月に出た最新5thアルバム『THANK GOD,THERE ARE HUNDREDS OF WAYS TO KiLL ENEMiES』の楽曲も織り込んでいく。まずはバキバキのスラップベースを用いた「CAPTAiN HOOK」を投下。観客もその場でジャンプし、熱気は右肩上がりに上昇。
「DEAD POP FESTiVAL 2020中止を受けて、DEAD POP FESTiVAL 2021が東扇島東公園に帰って来たぞ！ ライヴできて良かったよ！それだけで万歳。ここまで10組のアーティストが我々にバトンを繋いでくれました。帰り道、SiMかっこ良かったなー！って、それを言わせるためにやってきた」とMAH。
引き続きレゲエ色の強いミドル調のナンバー「Paint Sky Blue」、「Smoke in the Sky」で観客の体を横に揺らし続け、ラウド一辺倒に収まらない奥深い表現力でも魅了していく。
そして、「WHO’S NEXT」に移る際、早まってギターを弾いたSHOW-HATE。「緊張してるの？」とMAHが尋ねると、「緊張してるわ！」とSHOW-HATEが返すホッコリしたやり取りもレアなシーンだった。後半に向けて、MAHは自分なりのパンクの定義を語り始める。
「神奈川県湘南発のレゲエパンク・バンドです。どの辺がパンクなの？と思う人もいるかもしれないけど、この数年で答えに辿り着いた。パンクは最大の防御、自分たちが信じているものをどんな形でも守るのがパンク。それをジャマする奴らは全力でボコボコにしてやるよ！」と叫ぶと、「BASEBALL BAT」をプレイ。キャッチーなサビで聴き手と強い連帯感を作り上げ、ショウはいよいよ佳境に突入。次の人気曲「Blah Blah Blah」でMAHはあえて歌うように仕向けるものの、観客をルールを守って歌わない。その我慢比べの構図をわざと繰り返した後、「政治家の皆さん、これがロックのライヴですよ！」と鼻息荒く挑発し、再び楽曲に戻ると、観客はツーステップやヘドバンなど思い思いに気持ちを大爆発。その景色を観て、体の心から熱いものが込み上げてきたのは言うまでもない。いままで何度と聴いてきた楽曲だが、こんな形で感情を揺さぶられたのは初めての経験である。
最後はcoldrainのMasato（Vo）を呼び込み、ファスト＆ヘヴィな「f.a.i.t.h」を見舞い、昨年のリベンジをきっちりと付けてくれたSiM。初日からレゲエ”パンク”・バンドの矜持を叩きつける壮絶なステージングだった。
＜セットリスト＞
1.Get Up,Get Up
2.Amy
3.CAPTAiN HOOK
4.Paint Sky Blue
5.Smoke in the Sky
6.WHO’S NEXT
7.BASEBALL BAT
8.Blah Blah Blah
9.f.a.i.t.h (feat. MASATO)
文：荒金良介
写真：鈴木公平