「最後まであなたたちを応援します」心を解放させるサバプロの30分

  • 2021年6月26日
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Survive Said The Prophet(以下、サバプロ)がCHAOS STAGEのトリで奏でたのは30分間に渡る慈愛の音楽。と、純粋なSiMへの、DEAD POP FESTiVALへの深い深いリスペクトだった。ずっと憧れてきた先輩バンドであるSiMに向けた愛でもあっただろうし、この状況下でDEAD POP FESTiVALを楽しみにやってきたオーディエンスへの深い愛情でもあっただろう。ステージをいっぱいに使って、遠くから見てもどんなアクトをしているのか、どんな表情がわかるのかを見せるようにライブする彼らの姿を見て、オーディエンスの心が解放されていくのが手に取るようにわかった。

そうしたバンドの心情がパッション溢れるステージへサバプロを向かせたのだろう。音出しのリハの時点で、Yoshは「ここで見つけてやろうと思います!」と高らかに宣言し、ワンパート演奏を終えたところで「気持ちいい!」と叫んだ。「ここに立っていることがとてつもなく光栄です!」とYosh。オーディエンスもリハの音出しに合わせて全員が手を上げ、ジャンプし、それに応じるものだから、予定よりも10分前倒しでライブ本編が始まってしまったんだ、やべーー!と思って、私、めっちゃ焦りました。メモ帳を取りに走って、CHAOS STAGEまで全力ダッシュで戻った。あんまりダバダバ走ったもので途中でスタッフさんにちょっと怒られました。すいませんでした……。でも、驚かさないでいただきたい、サバプロ。

ライブ本編は、そんな気合い入りまくりのリハから数分後、SEの時点で拍手喝采。CHAOS STAGEの前方エリアを取り巻くオーディエンスの数は本日最多。DEAD POPにおけるサバプロの期待度が充分に理解できる光景だ。初登場ではあるが、このフェスにサバプロがマッチしていることは想像にたやすい。高まる期待の中で、Showのドラムに合わせてTatsuyaとIVanがパーカッションを叩くリズムに合わせてYoshがステージ中央に悠々と登場。「Mukanjyo」で一気にライブをスタートさせた。サビではフロアから一斉に手が挙がり、ビートダウンパートになれば、全員でヘッドバンキング。メインステージで見られるような圧倒的一体感とグルーブを生み出しながら「Bridges」。「次、SiMだけど1曲くらい踊っていいかな?」と「HI | LO」へ。次々と矢継ぎ早に楽曲を展開していった。

そのアクト、CHAOS STAGEが窮屈に感じられるほどにダイナミック。稚拙な言い方になってしまうが、スタジアム級の~としか言いようのないインパクトを放ちながらライブが進んでいく。ニコッと、Yoshの弾けるような笑顔から「幸せですか? みなさん!」とピースを掲げてスタートした「The Happy Song」でオーディエンスもピースサインとハンズクラップで応対。こうやればシンガロングしなくても歌っているように一体になれるでしょ? こうしたらモッシュ・ダイブしなくてもすごく楽しいでしょ? なんだか、そんなことを語りかけてくるようなパフォーマンスにぐいぐい引きこ込まれていった。

続く「Right and Left」の後はロングMCタイム。Yoshが「実を言うと、このステージに立つために通常の2、3倍のリハをやりました」と、この日に向けて、どれだけサバプロが気合いを入れてきたのかを「当たり前のことでもあるけど」と前置きをしながら話しはじめた。「10年以上サバプロをやっているけど、こんな緊張感を与えてくれてありがとう」とSiMとDEAD POP FESTiVALへの感謝を述べるYosh。さて、次の曲かな? と思っていると「この場を借りてMAHさんに言いたいことがあるんだよな」と、今日この日に至るまでの心情の話しへ。Yoshが日本へ戻ってきてから、ラウドロックをやりたいと思って、カッコいいバンドを探していたときに、SiMの存在を知ったということ。まだちゃんと知り合う前にMAHへ英語でDMを送っていたこと。サバプロをはじめてから、何とかして認めてもらいたいと思って行動してきたこと。そんなMAHへの、いや、SiMへの長年に渡る憧れと、ついにCHAOS STAGEへ呼ばれたことへの喜びを包み隠さずに告白するような内容だった。そんなサバプロが持つストーリーを聞いて、こちらもエモーショナルな心持ちに。「誰が見てなくても、何を言われても、最後までやりきったやつが勝ちだ!」と言葉を繋げ、SiMへ捧げる曲として最終曲に選ばれたのが「Follow」。この選曲が何とも心にくいと思わないか? 最後にはぶちかますようなハードなチューンを持ってくるのではなくバラードで。終曲後、改めて、感謝を述べながら「サバプロ、最後まであなたたちを応援します」とライブを締めくくった。

自らのストーリーだけではなく、この場にいる全員で共有することとして、この日のライブを提示する。そのようにして、サバプロが音楽で解き放ってくれたお陰で、ライブ終了後、とても温かい感情を胸に感じることができた。そして視線はCAVE STAGEへ……。大トリのSiMがまもなく降臨する。

<セットリスト>

1.Mukanjyo
2.Bridges
3.HI | LO
4.The Happy Song
5.Right and Left
6.Follow

文:田島諒
写真:半田安政