こんなクソみたいな時期に敢えてcoldrainが見せつけたラウド・ロックの底力

  • 2021年6月26日
  • 0626

「DEAD POP! 手加減しねえぞ!」

開口一番、Masato(Vo)が言い放ったそんな言葉から演奏になだれこんだcoldrainが1曲目に選んだのが「REVOLUTION」。Sugi(Gt/Vo)とRxYxO(Ba/Vo)が重ねるOh oh ohというシンガロング・コーラス。Masatoがダイナミックに使い分けるスクリームとクリーン・ボーカル、そしてグロウル。観客全員のヘドバンを誘うブレイクダウン・パート。そして、観客がその場でジャンプせずにいられない4つ打ちのリズム。coldrainの曲が持つ魅力を凝縮したようなこの「REVOLUTION」ほどスタートダッシュをキメるという意味でふさわしい曲はなかった。

そこからY.K.C(Gt)が奏でるリフが印象的な「ENVY」に繋げる前に「楽しんでいる奴ら手を挙げろ!」とMasatoが言ったのは、早速、会場に生まれた一体感を感じ取っていたからこそ。その「ENVY」からKatsuma(Dr)のドラムの連打とともに演奏になだれ込み、棹隊が一丸になるリフが演奏をさらに勢いづかせる「24-7」と繋げ、バンドは観客の気持ちをさらに鷲掴みに! その「24-7」では「全員座れ!」とMasatoが観客を座らせ、「SiMの「KiLLING ME」で慣れてるやつ行くぞ!」と1-2-1-2-3!の合図でジャンプさせ、ライブに参加する醍醐味もしっかりと味わわせる。

そして、同時に一体感も作り上げたところでMasatoが言ったのが以下の言葉。

「今年は制限もあるから、暴れたいのに暴れられない曲をやるのは、この3曲で終わり。coldrainには日本武道館に上り詰めるために作った名曲と言えるバラードがある。ここからはそれをやる。あなたの心に残る歌を唄いたい。オリコン・チャートに入りたい。Mステに出たい。そんなふうに思いながら作った曲をやります」

ええっ、そんなぁと思いながら、でも、それはそれでありかもと楽しみにしていたところにバンドが投下したのが、前の3曲よりもメタリックな「FIRE IN THE SKY」とハード・ロッキンなリフが跳ねる「DIE TOMORROW」。なんだ、さっきの発言は前フリだったのか! しかも、リズムを大胆に突進する「F.T.T.T」を披露する直前にMasatoは「おまえらの暴れられないその気持ち、受け止めてます。もうちょっとモヤモヤしてもらおうかな(ニヤリ)」と言ったのだ。ドSかっ。心の中でつっこみながら、ふと気付く。前掲のMasatoの発言の後段は前フリなどではなく、案外、本心なんじゃないか、と。つまり、coldrainはこの日、披露したようなラウド・ロック・ナンバーでオリコン・チャートに入って、Mステに出たいと考えているんじゃないか、と。

結局、バラードは1曲もやらなかった。もしかしたらバラードで観客を酔わせるという選択肢もあったにもかかわらず、この日、ラウド・ロック・バンドとしての自分たちのやり方を貫いたcoldrainの姿は、コロナ禍という状況に抗っているように見えた。

「1つだけ言えるのは、常にルールを守ってる奴が一番かっこいい。聴いている音楽もかかっこいい。好きなバンドもかっこいい。行動もかっこいい。そんなあなたたちとライブができて光栄です」

そう語ったMasatoは「今年のモヤモヤ、来年、回収しに来るから!」と宣言。そして、バンドはCrystal LakeのRyo(Vo)を迎え、ダメ押しするように一際ヘヴィな「MAYDAY」と「THE REVELATION」の2曲を披露した。MasatoとRyoのグロウルの応酬に観客がヘドバンで応える。実は、Ryoの客演は「MAYDAY」1曲のみの予定だったらしい。それが「まだ終わってねえぞ」とMasatoがステージを去ろうとするRyoを呼び止め、急遽、2曲参加となったようだ。

「ラウド・ロックの底力を見せてやろうぜ」

MasatoがRyoに言ったこの言葉にも、Masato曰く「こんなクソみたいな時期に」フェスのステージに立つこの日のcoldrainの決意が表れていたように思えるのだった。

<セットリスト>

1.REVOLUTION
2.ENVY
3.24-7
4.FIRE IN THE SKY
5.DIE TOMORROW
6.F.T.T.T
7.MAYDAY feat. Ryo
8.THE REVELATION

文:山口智男
写真:鈴木公平