「CAVE STAGE」でcoldrainが終わると、「CHAOS STAGE」ではOAUがリハに励んでいる。いざ準備が整うと、「あ、やります。エレキ・ギターって言うの？音でかいね。耳を休めて、踊れるアコースティックを」というTOSHI-LOW（Vo/A.G）の言葉を合図にインスト（新曲）で幕を開けたOAU。
MARTIN（Vo/Violin/A.G）、TOSHI-LOW、KOHKI（A.G）、MAKOTO（Cb）、KAKUEI（Perc）、RONZI（Dr）の総勢６人が所狭しとステージに並び、有機的なアンサンブルで観客の体を即座に揺らしていく。
「Again」に入ると、個々の楽器は饒舌に会話を繰り広げ、躍動感をますます高めていく。やはり、アコースティック編成で15年以上やり続けているバンドの説得力は伊達じゃない。曲間をパーカッションやドラムでさりげなく繋いだ後、次は「Making Time」へ。カラフルに色づく演奏に引き込まれ、一気に螺旋階段を駆け上がる後半の展開も聴き応え十分だった。自然と笑みが溢れ、心が開放されるサウンドが気持ちいい。
「大変な世界の中で、ライヴハウスは悪者にされて・・・ロックの現場は素晴らしくやれているじゃないか。オリンピックもMAHが仕切ればいい」とTOSHI-LOWは主催者をイジることも忘れない。
そして、中盤には新曲「世界は変わる」も披露され、一語一語を丁寧に歌い上げるTOSHI-LOWのハートフルな歌声に多くの観客が惹きつけられていた。続く「Thank You」ではイントロからクラップが沸き起こり、また、Martinは柔らかな歌声も心に染み渡っていく。後半はテンポアップしてパーティー感を演出する空気も最高だった。
「休憩時間終わります、ラウド・ミュージックへ」とTOSHI-LOW
が呟き、ラストはTVドラマ「きのう何食べた？」オープニング曲「帰り道」をここで披露。切ないヴァイオリンに郷愁を刺激され、着飾らないTOSHI-LOWの人間味溢れる歌声はあまりにも感動的だった。できれば、もっとこの場所でずっと聴いていたい。そう思うほど、至福の時を刻み続けた30分であった。
＜セットリスト＞
1.インスト(新曲)
2.Again
3.Making Time
4.世界は変わる（新曲）
5.Thank You
6.帰り道
文：荒金良介
写真：半田安政