「SABLE HILLSはデッドでメタルなフェスにしたいと思います!」メタルが生んだ調和とカオス

  • 2025年6月29日
  • 0629
  • SABLE HILLS

今年のラインナップにSABLE HILLSが発表されたときは「ついにきたか!」と思った。2015年に結成した彼らが奏でるサウンドはメタルコアの中でもメタル寄り。メタルバンドがハードコアの要素をちょっと取り入れているという感じだ。

音楽性やワールドワイドな活動方針、バンドのマインド的にもDEAD POP FESTiVALにピッタリだと思っていた。早く出演してほしい! と願っていた思いが結実したのが今回のステージだ。

SABLE HILLSとしても、やはり“念願”であったことに間違いなく、その気迫はリハ時の「SABLE HILLSはリハからサークルピット! メロイックサインを掲げろ!」というTakuya(Vo)の言葉からも見てとれた。そんなライブは、結論としてメタルのタフネスを屈強なパフォーマンスで見せつけられ、圧倒的なパワーをぶつけられ完全に食らってしまった。

「はじめまして、DPF! 拳を上げろ!」の言葉と共に「Battle Cry」で幕を開けたライブ本編。フロアはすべにヘッドバンキングの波に飲まれており、「踊れ!」とTakuyaが指示するやクラウドサーフが巻き起こり、その人並みがビートに合わせてサークルピットに変化していった。SABLE HILLSの楽曲にはクラウドサーフ、モッシュ、サークルピット、ハンズクラップ、シンガロングとすべての要素が、どの曲にも盛り込まれているので、この後に演奏された「Crisis」、「No Turning Back」といった楽曲すべてにおいて、フロアの様子がクルクルと変化していくことになった。ラウドシーンのピットで起こるすべての眺望を1曲4分の中で目の当たりにすることができるという意味で、SABLE HILLSのライブは賑やかで楽しいと思う。

「DEAD POPってどういう意味ですか? ってMAHさんに聞いたら「お前らに任せるわ!」って言ってくれたんだよ。だから、SABLE HILLSはデッドでメタルなフェスにしたいと思います!」と、DEAD POP FESTiVALを完全にメタルでジャックすることを宣言したTakuya。アグレッシブにステージを動き回りながら「お前ら、踊るの好きだろ!?」、「まだまだ拳が足りてねぇ!」、「サークルだよなぁ!?」と、フロアの様子を見ながら、オーディエンスに一瞬たりとも休憩を与えない。もうコロす気できてる。神も慄くレベルの恐ろしいたたみかけである。

だが、そこにはSABLE HILLSの膨大な経験値に基づく包容力も感じさせる。荒れ狂うピットを見て、メンバーは笑顔でうなづき、共にメタルを楽しむ時間を愛でているようだった。3曲目「No Turning Back」終曲後、演奏が止んでもオーディエンスがステージに向ける怒号は止むことがなく、しまいには「サークルピット!」の大シンガロング。逆に煽ってくるフロアに対して、Takuyaも「気持ちいい!」と応答していた。

SABLE HILLSは、メタルの力を持って自らでシーンを作り上げようと行動しているバンドでもある。ゆえに自主企画フェスを開催しており、中盤のMCではそのことが伝えられた。

「僕たちも『FRONTLINE FESTIVAL』というフェスを主催しております。それも、同じ川崎で。今日ここにいる人は好きになってもらえると思います。デッドな1日になると思うので遊びにきてください!」。

SABLE HILLS主催の『FRONTLINE FESTIVAL 2025』は9月6日に川崎CLUB CITTA’で開催される。今日出演しているラインナップでは、Knosis、花冷え。、View From The Soyuzが出演。他にもアメリカからDARKEST HOUR、イギリスからOCEANS ATE ALASKAが出演する。メタルコア、ハードコアといったラウドミュージック好きには刺さりまくるラインナップなので是非チェックを。

さて、その後は「最後までメタルできますか!」と檄を飛ばし、壮大なイントロから始まる「Odyssey」、ラストはギターの美メロリフが光る「Tokyo」で、リフトとクラウドサーフを繰り返しながらライブを締め括った。

そのギターのメロディやリフはよい意味でクサいと感じる。クサいもんはいいものだ、ラーメンがそうであるように。味があって身体に染みるのだ。

そんなクサさが究極的に昇華されていたメタル空間は実に美しかった。いや、あまりにも輝かしくて、美し過ぎた。

 

<セットリスト>
01.Battle Cry
02.Crisis
03.No Turning Back
04.The Eve
05.Odyssey
06.Tokyo

文:田島諒
写真:半田安政