「SiMと関わるとひと味ちげえなって、いつまでもそう思わせるバンドでいてくれ」 ― ハルカミライが2年ぶりのDEAD POPに命を込めてぶつかったライブ

  • 2025年6月29日
  • 0629
  • ハルカミライ

前日から最高の更新を続けているDEAD POP FESTiVAL DAY2、ここで登場するのは、ハルカミライ! DEAD POPの出演は、2023年のトップバッター以来だ。2年ぶりとあってか、体とステージをフルで使いまくったライブを見せつけた。

「サンキュー、DEAD POP!! よろしくお願いします! ハルカミライの参上!」と橋本学(Vo)の言葉から、「君にしか」が始まった。出だしから橋本はフロア前方、オーディエンスの前に立ち、アツいパフォーマンスをぶつける。ハルカミライのライブをご存じの人ならばもちろんだけど、スタートからフロア前方がダイブのレスポンスを返す。後ろから観ていると、まるで映画のスクリーンの中に飛び込んだように、壮大な景色が広がっていて圧巻だ。やっぱりハルカミライの音とライブは、インスタントではなく、汗と涙の結晶でできた“リアル”な音楽だと実感させられる。歌詞の一字一句、楽器隊の音の欠片、すべてに“リアル”が宿っている。だから聴き手側も体全部を使って反応せずにはいられないのだろう。まさにハルカミライ=最高のライブバンド、という揺るぎないポリシーが、ライブに全身全霊で込められている。

続く「カントリーロード」では、関大地(Gt/Cho)がフロアにダイブ。オーディエンスの頭上でギターを掻き鳴らす姿がエモーショナルだ。ここで橋本が「2年ぶりのDEAD POP。肩ぶん回しに来てます。SiMに必要だったと思わせるように一生懸命にやります!」とDEAD POP FESTiVALへの想いを吐露し、「ファイト!!」に。ここでもハルカミライらしく、ステージ全部を使ってライブする。スピーカーの上に立って楽器を鳴らしたり、歌いながら水をかぶったりと、思いのまま、体をフルで動かす。フロアではみんなのステップやモッシュで砂嵐が吹き荒れている。「世界を終わらせて」では、フロア前方に立つ橋本が「いい歌、歌いに来た。今日はやる気しかないから。俺は心の底から歌いてえ」とアカペラを織り交ぜながら語りかける。オーディエンスは、クラウドサーフに、巨大なサークルモッシュを作ったりと、ハルカミライに負けないくらい体全部でリアクションする。と、暴れまくるのがハルカミライではない。音に体を預けて曲を染み込ませたくさせるのも彼らの魅力だ。そうハルカミライは、SiMから受け取った想いを自分達なりに解釈し、やりたいことを自由に音に乗せているのだ。

暴れる曲もあれば聴かせる曲だってある。とにかく“リアル”な今しかできないライブを自由にしたいのだ。みんなの気持ちをその場で受け取り、即興で具現化していく。自分達がやれることをとにかくがむしゃらにやる。それはSiMのためにやっているのではなく、オーディエンスのためにだけやっているのでもない。すべては自分達がやりたいからで、自分のままにってことだろう。こうしたハルカミライの姿勢が、うねりとなってフロアに反響していく。それが至るところに落ちては吹き出し、私達を奮い立たせているのだ。橋本のアコギでスタートした「QUATTRO YOUTH」では、「バンドはもらった数十分でぶっ倒れるまでやる。これが俺のフェスの美学」と叫び、ラストは「Tough to be a Hugh」の冒頭をアカペラしてからそのまま「エース」に。メンバー達の魂を震わせる音が東扇島の空、地面に染みていく。晴れの日や雨の日、ライブがある日、ない日、何もないことなどはない、いろいろなことがある人生の中で、今日ここで、ハルカミライを観た。きっと今日という日が特別な日になる。そんなことを感じさせてくれたライブだった。

 

<セットリスト>
01.君にしか
02.カントリーロード
03.ファイト!!
04.俺達が呼んでいる
05.フルアイビール
06.春のテーマ
07.世界を終わらせて
08.ウルトラマリン
09.PEAK’D YELLOW
10.QUATTRO YOUTH
11.Tough to be a Hugh
12.エース

文:相沢修一
写真:鈴木公平