HEY-SMITH、当たり前じゃない信頼のもとに作った夏の思い出

  • 2025年6月29日
  • 0629
  • HEY-SMITH

HEY-SMITHにとって1年ぶり、つまり今年“も”出演となった「DEAD POP FESTiVAL」。しかし、この1年の間、HEY-SMITHには大きな出来事がたくさんあった。まずはSiM、coldrainと共に回った「TRIPLE AXE THE LAST TOUR」、それからアメリカツアー、初のオーストラリアツアー、かなす活動休止前ラストツアー「HEY-SMITH TOUR “Goodbye To Say Hello”」の開催、そしてかなす(Tb)の活動休止。そして、UME(Tb / Kill Lincoln)をサポートメンバーに迎えてのライブ再開。そうして1年ぶりに、いつもの「DEAD POP FESTiVAL」のステージに立つ。

猪狩秀平(Gt/Vo)の言葉を借りれば「死ぬほど暑い」14:10。猪狩が「やっほー!」と声をかけると、バンドは「I’m In Dream」でライブをスタートさせた。夢が叶ったとき、喜びのステージなどでセレクトされることの多いこの楽曲。HEY-SMITH的“喜びの歌”とも言えるこの曲は、東扇島東公園に吹く強い風に乗って、高らかに響き渡った。

そこからは「俺たちがHEY-SMITHだ!」と名乗って始まった「Say My Name」、フロアがスカンキンを踊った「Fellowship Anthem」、タイトな演奏で奮い立たせた「Be The One」、イイカワケン(Tp)、UME、満(Sax)、Task-n(Dr)のソロがさらに盛り上げた「Radio」、無数のハートマークが揺れた「The First Love Song」とノンストップで次々と楽曲を畳みかけ、フロアも即座に反応しHEY-SMITHの音楽を全身で味わっていく。

「今から“お酒飲むタイム”です」との猪狩の言葉に続き、ジャジーなドラムとホーン隊がしっとりとインストナンバーを聞かせたあと、「Into The Soul」へ。じりじりと暑い日差しが妙にこの曲に似合い、暑さをもHEY-SMITHの音楽の要素の一つにしてしまう。「California」では煌々と照りつける太陽も味方につける。同じように、喜びも、悲しみも、寂しさも、全部音楽に昇華してくれるのがHEY-SMITHだ。

猪狩の「踊れ!」との言葉から、いわゆるライブバンドが言う音楽に身を任せて暴れたり体を揺らすということではなく、メンバーがTikTokでレクチャーした揃いの振り付けをみんなが踊った「Inside Of Me」まで、およそ25分。ほぼ音を止めずに鳴らし続けてきたHEY-SMITH。ここでようやくMCへ。UMEが加入した体制でのライブを見る前に、DEAD POP FESTiVALのオファーがあったことを明かした猪狩は「それはたぶん、今までの俺たちの活動と、関係を信じてくれたからだと思っています。この関係は当たり前じゃない」と感謝を述べる。冒頭に書いたように迎えた2025年のステージだからこそ、彼らの言う「当たり前じゃない」の重みは言葉以上だ。続けて、今日を最後に9月までライブがないこと、つまり今日が、最後の夏フェスになることを伝える(「あ、“今年”ね。9月からは出るよ。7月、8月の暑い時期のね」と補足していたからご安心を!)。そして「一緒に夏の思い出作ってもらっていいですか?」と言うと、YUJI(Ba, Vo)のボーカルが心地よく広がる「Summer Breeze」をさわやかに届けた。

そして「大丈夫、大丈夫!! 世界中がお前のこと嫌いになっても、俺は味方だ。今は最悪かもしれない。でも何回でも立ち上がれ」とメッセージを送ると「Don’t Worry My Friend」、ラストチューン「Living In My Skin」を叩き込み。「伝えたいことは全部楽曲で」と言わんばかりに夏の思い出を作ってそのステージを降りた。

 

そうそう。猪狩が最後に言った言葉、きっと多くの人が思っていることだと思うから、しっかり文字にしておきましょう。「SiM、もっと日本でライブやってくれー!」

 

<セットリスト>
01.I’m In Dream
02.Say My Name
03.Fellowship Anthem
04.Be The One
05.Radio
06.The First Love Song
07.Into The Soul
08.California
09.Inside Of Me
10.Summer Breeze
11.Don’t Worry My Friend
12.Living In My Skin

文:小林千絵
写真:鈴木公平