曇りときどき晴れ。時折日差しも差し込み、日の落ちる頃には空はきれいな夕焼けに染められた。DPFは陽がとっぷり暮れたDPFのステージには、覇王・SiMの登場だ。

MAH(Vo)が拳を突き上げる。その拳はチッチッチと時計の針に変わる。「Faster Than The Clock」だ。雨も風もなく、真っ向からSiMの轟音が心臓に突き刺さる。もくもくとスモークがステージを覆い、SiMのロゴの前にMAH、SHOW-HATE(Gt)、SIN(Ba)、GODRi(Dr)の姿が浮かび上がる。「Get Up, Get Up」が遊び尽くした体に溶け込んでいく。

だからといってSiMの描き出す世界に浸っているばかりでは、王は物足りないわけで。「昨日は雨に負けてお前ら勇士どもの声がステージまで届かなかったけど、今日は雨も風もねえから、SiMの出す轟音に負けてしまってお前らの声全然聞こえねえよ」そう叩きつけてから「The Rumbling」が始まれば、フロアから轟音のような歌声が沸き上がる。まるで共に戦いに行くようだ。



さらにMAH様はこうも言った。「DEAD POPのお客さんはイカれてると巷では有名ですが、DEAD POPから夏の灼熱地獄をとっぱらったら、お前ら2倍増しでイカれてるやんけ!」。そして安定した天気に恵まれた今日を振り返ると「あとは安心してこの帝王、いや、覇王・SiMにすべて任せて日頃の鬱憤をすべて発散させて帰れよ」


その頼もしい言葉に体と心を預けると、鋭いカッティングに乗せて「DO THE DANCE」で踊り、「ANTHEM」のずしりと響くドラムとベースに身を委ね、MAHと共に歌う。MAHがキーを忘れて当てずっぽうで歌い始めた“めっちゃヒット曲”「Blah Blah Blah」はもう、言わずもがな。踊って歌って暴れて走って。身体的な疲労の代わりに、少しずつ心が軽くなっていく。
先ほど「まるで共に戦いに行くようだ」と書いたけれど、これがあながち間違っていなかった。というのも、THE ORAL CIGARETTESのステージでMAHが言ったように、今のMAHの夢は「DEAD POP FESTiVAL in ロサンゼルス&ロンドン」なのだそう。「日本の音楽シーンのすごさを広めたい」のだという。そのために、まずは自分たちを海外で有名バンドにしていかないといけない。その思いで、走り続けているのだという。つまり、DPFで沸き上がる熱狂は、海外進出への鍵であり、パスポートなのだ。

このDPFを境に、SiMはこれまで続いていた「PLAYDEAD」(2023年リリースのアルバム)のモードから、新たなアルバムのフェーズになったという。そのアルバムにも収録される予定の新曲「FiVE TiMES DEAD」を披露すれば、配信されてから数日しか経っていないというのに、すでにどデカい「デッデデデッデ」「five time dead!」の声が響き渡る。トリッキーなのにキャッチーなこの曲から、ニューアルバムおよび新たなフェーズのSiMが「ンパない」ことは一目瞭然だ。


なぜSiMがこんなにも凄まじいイベントを作り続けられるのか、なぜ「ンパない」アルバムを作り上げることができるのか。それは次のMAHの言葉に集約されていた。
「俺らバンドの本質はいつだってライブハウスにある。横浜F.A.Dとかshibuya CYCLONEとか、そういうライブハウスにある」


そう言うとDEAD POP FESTiVALがライブハウスで行われていた頃からのキラーチューン「KiLLiNG ME」をお見舞いし、怒涛の勢いで本編を終えた。アンコールでは、昨日は雨で割愛された共演者との集合写真撮影も今日はしっかり収めて、来年のDPF開催も発表。春らしく(?)野球の歌「BASEBALL BAT」を高校球児に贈り、最後はMAHがフロアをぱっくり割る。フィーチャリングゲストとしてKoieを呼び込むと、Koieの提案で若手も呼びこむことに。袖から飛び出してきたRui(See You Smile)、PK(PROMPTS)、Takuya(SABLE HILLS)、Yui(Earthists.)と共に、「f.a.i.t.h」で大団円。DPFが作り上げてきたシーンが間違いなくここにあった。だからMAHからこの言葉が出たのだろう。「もうさ、DEAD POP世代って呼んでもいいんじゃないの?」



ここに集いしDEAD POP世代の皆様。まずは来年のDEAD POP FESTiVAL でまたお会いしましょう。
※【覇王】諸侯を統し天下を治める者。覇者の長。(広辞苑)
<セットリスト>
1. Faster Than The Clock
2. Get Up, Get Up
3. The Rumbling
4. DO THE DANCE
5. ANTHEM
6. Blah Blah Blah
7. FiVE TiMES DEAD
8. KiLLiNG ME
EN1. BASEBALL BAT
EN2. f.a.i.t.h
文:小林千絵
写真:鈴木公平・半田安政

