
初日から数々の熱いライブが繰り広げられてきた東扇島。気がつけば空はすっかり黒に染まり、地獄の宴も残すところあと2バンド。疲れ知らずのオーディエンスは、これまでのライブを振り返りつつも、CHAOS STAGEのラストバンドへの興奮抑えきれない様子。ざわ……ざわ……ざわ……。というのも、リハーサル中のステージには、白パーカに黒の目出し帽という、どこか特撮の戦闘員を思わせる不穏な人達が姿を現していたからだ。そう、彼らこそがDEAD POP FESTiVAL初出演となるベテラン(あえてそう呼ばせてほしい!)、しけもくロッカーズの面々である。事前の出演アーティストコメントでも、「SiM以外に気になるアーティスト」として名前が挙がっていたこともあり、ステージ脇にはバンドマンの姿がずらり。その光景だけでも期待値は十分に高まる。言ってしまえば、これは絶対にヤバいやつという空気が充満している。とはいえ「誰が誰?」状態、さらにはバンド名すら初耳という人もいるはずなので補足しておこう。このバンドはもともと、dustboxのSUGAとJOJIを中心に、企画モノで結成された変名バンド。現在は、dustboxからJOJI ANGERとSUGA DEVIL、HAWAIIAN6からはHi-BISCUS HATANO、STOMPIN’BIRDからはTOMY CHINATOWN、そしてSHADOWSからMARA PIPPI SAKURAIという5人体制。名前を並べるだけでも豪華すぎる顔ぶれだ。しかも今回は約8年ぶりのライブということで、そのレア度も相当なもの。ざわ……ざわ……ざわ……。


SEには、しけもくでも異色なナンバー「SOKA SENBEI NIGHT」が採用され、その音に乗せて5人が登場。JOJI ANGERの「いこうか、オマエラ」のひと言から「ネグリジェ」へ……と流れたところが、まさかの楽器隊のミスで途中中断。そのまま「ROTTEN TOMATO」へとなだれ込む。超高速のビートにフロアは即座に反応し、サークルモッシュやダイブが発生。さらに降り出した雨と吹き荒れる風が、混沌とした空気をよりカオスにしていく。続いては、誰もが幼少期に口ずさんだであろう「サル、ゴリラ、チンパンジー♪」のフレーズを大胆にアレンジしたカバー「去るゴリラ珍パンジー」。原曲の面影もない自由すぎるハードコア仕様に、場内のテンションはさらに加速する。ここで突如、最近配信がスタートしたばかりの「うそつきパパ」のCMが差し込まれ、ひと息……かと思いきや、このCMは後にもバージョンを変え何度も流れることに(笑)。その流れからリハでも披露された「E ANBAI」「GOLD MONKEYS」を立て続けに投下し、フロア前方は終始狂喜乱舞の状態が続く。


6曲目には、SUGA DEVILへの不満をぶつけたというCMが流れまくった「うそつきパパ」を披露。怒涛のセット展開はまったく隙を与えず、ざわめきや笑い、モッシュにダイブと、さまざまな感情が入り混じって空間はさらに混沌を深めていく。曲が終わるたびに歓声が空へ吸い込まれ、刹那の静寂が訪れる。その合間に聴こえるのは、強烈な雨風の音と観客の興奮した息づかいだ。この場所にしか存在しない自由さと圧倒的な熱量で、CHAOS STAGEは完全にしけもくロッカーズの色に染め上げられていく。

後半戦も勢いは衰えない。「HYSTERIC」で鋭く切り込み、某ハンバーガーチェーンへのオマージュ(もはや隠す気なし)「M×C×D」に、重厚なドラムと鋭いサウンドが炸裂する「Ghost Writer」「TITAN」と、縦横無尽に駆け抜けていく。残り時間5分。誕生日だというJOJI ANGERが「次のジャケットにしたいから、頼む、乗せてくれ!」と懇願すると、ステージからバイク型の浮き輪が投入される。そう、ヘッズの頭上に浮くその浮き輪にJOJI ANGERが乗り込んだのだ。ここでテーマソング「しけもくロッカーズGo」が炸裂。爆音の中、キッズの上を進むその姿は、もはやヒーロー……いや、戦闘員ショッカーだった。


こうして30分で全12曲を叩き込むというすさまじいステージは、スーパーの閉店ソングとしておなじみの「蛍の光」とともに幕を下ろす。最後まで目出し帽を脱がなかった彼らは、観客に手を振りながら頭を下げていた。ありがとう! しけもくロッカーズ。また会える日を楽しみに……って、それにしてもだ。ザ ニンクスによる全裸の衝撃的な幕開けから、この怪しさ全開のしけもくロッカーズに至るまで、すべてがカオスだったCHAOS STAGE。この地獄絵図にどう応えるのか。ラストバッターは、もちろんこのバンド、SiMだ! ざわ……ざわ……ざわ……。

<セットリスト>
1. ネグリジェ
2. ROTTEN TOMATO
3. 去るゴリラ珍パンジー
4. E ANBAI
5. GOLD MONKEYS
6. うそつきパパ
7. オクラホマスタンスピード
8. HYSTERIC
9. M×C×D
9. Ghost Writer
10. TITAN
11. しけもくロッカーズGo
文:相沢修一
写真:半田安政

