Hammer Head Sharkのオープニングアクトからスタートした、今年のDEAD POP FESTiVAL1日目も残すは2バンド。庵原将平（Vo/Ba)のMCから拝借するなら、ELLEGARDENの横綱相撲をステージから観て火がつきまくったSHANKが、CHAOS STAGEのトリを飾る。ケツ毛を抜いてきたと話した昨年のライブから、今年はどう来る!? フロアはスタート前から期待と熱気がパンパンで弾けそうだ。
SEを入れず「SHANKっていいます。よろしくお願いします」と庵原からのコメントで「Set the fire」がスタート。フロアの熱が彼らに引火したのか、出だしから醒めた炎が天をも焦がすかのようなすさまじいプレイを奏でる。それに呼応するかのようにフロア前方では、クラウドサーフのビッグウェーブが巻き起こる。つくづくSHNAKのライブは心地がよくて、胸がアツくなると気づかされる。それはアレンジが大きく変わっているわけではないんだけど、毎回その時その時の感情が音に乗っているからだと思う。昨年のDEAD POP FESTiVALの自分のプレイは、決してなぞらないぞ。一瞬一瞬のプレイに自分達の今を解き放つんだ。そんな気迫が音に乗っている。だからSHNAKのライブは、観る度に新鮮な気持ちにさせてくれるのだろう。だから同じライブは2度と味わうことができない。“今日だけ”というセットリストに込められたボリュームタップリのライブの幕開けと言い切れる。
続くはスカのリズムが気持ちいい「620」。みんなのスカダンスに地面が揺れる揺れる。「Hope」では相変わらずダイバーのウェーブは収まることを知らない。この波はきっとステージの向こうでラストを控えるSiMに届いているだろう。なんだか曲の勢いのまま演奏していて気がついたらそこにいた、という感じ。まさに無我夢中。流れるままに歌う。今日のSHANKはそんな気がする。MCも少なめだったし、曲自体の内に秘められていた思いが、スパークしたかのように音とともにあふれ出てくる。感情を溜め込んで、メンバーのプレイとともに爆発していく。曲と曲とがぶつかり合いながらも絶妙なバランスで走り続けている。それはオーディエンスもそう。次なんてどうでもいい。今という時間を最大限に楽しんでいる姿が美しい。胸がいっぱいになり、胸が張り裂けそうになるライブとはこのことだ。
「Life is …」や「Good Night Darling」といったグッドナンバーを入れ込みながら、ライブ中盤で庵原がMCを挟む「FOMAREと違って、僕らはしゃべるのがめんどくさいぐらいストーリーがあるんでやめときます。ほんといつもありがとう。感謝の面も言いたいことも最後まで音楽で表現して帰ります」と、ここで「Midnight Grow」を放つ。夕日が落ちてきて暗くなってきた空に、SHANKのリズミカルナンバーを飛び立っていく。フロアはハンズアップで海ができたかのように壮大な景色が広がる。ラストは「Cigar Store」。ここまで駆け抜けまくって11曲目。楽しい時間は本当にあっというまだ。もっともっとと望んでももうスタートに戻ることはできない。「力は出しきれたかい？」と、軽快な掛け声が聞こえてきそうなメンバー達の清々しい笑顔がこれまた最高だった！ ありがとう！ 体全部を使って自らのサウンドを表現しきったSHNAKとオーディエンス。まさに体現するという中に生き様を見た。バンドマンにとってライブとはただの自己満足ではなく、人との、世界との接点なのだ。SHANKはライブでフロアのひとりひとりの心と深くつながったのだ。
<セットリスト>
01.Set the fire
02.620
03.Hope
04.Weather is Beautiful
05.Depature
06.Life is…
07.Good Night Darling
08.Can’t keep them down
09.Midnight Grow
10.Long for the Blue moon
11.Cigar Store
文：相沢修一
写真：かわどう