最高にイケてるライブってなんだと思いますか？ それはイケてる衣装に身を包んで、汗もかかずにクールに演じるものでも、大きな音をボタンひとつでカチッと鳴らすものでも、フロアをただ煽るだけのものではない。そんな見せかけじゃなくて、もっと泥臭くて、高純度に濃縮された音楽への熱意が音に乗った生々しいライブじゃないだろうか。そう音を掻き鳴らす人達の生き様が、見え隠れしているような生きたライブ。どこまでも広がる空に打ち上がる花火のように、一瞬で大爆発するような音と、体を突然と別世界に持っていってしまうようなパフォーマンス。DEAD POP FESTiVAL初出演のAFJBのライブは、まさにデタラメすぎるぐらいのパワフルなパフォーマンスと、聴覚神経を根こそぎ揺さぶるサウンドでオーディエンスを攻め立てていた。ミクスチャーロックというマンシンガンで、フロアにいる者を片っ端から撃ちまくって叫んでいた。撃たれたこちら側も同じように叫びながらこう思ったはずだ。「最高っ！」ってね。
SEに合わせてステージに登場したのは、ロックバンド、Age Factoryのメンバーでもある清水英介（Vo／Gt）、西口直人（Ba）、増子央人（Dr）の3人。楽器を手に取り、1曲目の「DA BOMB」を爆発させる。その音の爆発に合わせ、CreativeDrugStoreのメンバーでラッパーのJUBEEが登場！ 音の塊をぶつけてきた。ライブハウスとクラブという異なる主戦場で活動する者が集まってサウンドを鳴らすユニット、これがAFJBだ。2曲目はヒットナンバーの「DENGEKI」。油断しているとあっという間に体がショートしまいそうなくらいに早くて重い。とにかく音の電撃が次々とフロアに投下され、爆発していく。とんでない熱気が熱波となり、フロアに吹き荒れる。まさにAFJBが巻き起こすサウンドストームだ。そのままラップが矢継ぎ早に降ってくる「A.F.J.B.」に、清水のシャウトとJUBEEのラップが見事に混ざり合った「GOD」を挟んで披露された「Toxic」では、活動休止中のヒップホップグループ、KANDYTOWNからラッパーのMUDが、曲の途中から乱入する。JUBEEと息のあったラップでフロアを沸かせる。この曲は後半になると重厚なサウンドにと変わる変則的な展開なのだが、フロアはダイブとモッシュで見事に応える。
ここでJUBEEが、何もかも忘れて一緒にハッスルしようと呼びかける。ムカついていることや日頃のストレスをAFJBの音で吹っ飛ばそうぜと「Bad morning」を繰り出す。心地よいアッパーなチューンに、上にではなく左右に体を揺らすオーディエンス達。曲が終わってあたりを見渡せば、興奮冷めやまずに叫んでいる者がいたり、嬉しそうに泣いている者もいる。このサウンドを食らったらしょうがない。それくらいAFJBのパワーが強烈で心を刺激する。続くはポップなラップとサウンドでハッピーな気持ちにさせてくれた「Splash!!!」を披露し、JUBEEがMCを。過去にDEAD POP FESTiVALに遊びに来て、ずっとファンだったDragon AshのKjに手紙を渡したことから、このフェスに対する想いやミクスチャーロックの愛を語り、「また（DEAD POP FESTiVALに）戻って来れるようにがんばるぜ！」と、ラストの「SCKOOL」に流れる。JUBEEの切れ味抜群のラップと、清水の歌声やシャウト、そして楽器隊の音がひとつの轟音となり、東扇島に降り注ぐ。ロックだとかヒップホップだとか、カテゴリーやジャンルなんてどうだっていい。AFJBを味わったことで、新しい自分に出会えた気分になった。
やりたいことがあるから、好きなことを気の合う仲間とやっている。待っていても始まらないぞ、やりたいなら自分でやれ。そんなこともAFJBのライブから感じた。個性がみなぎるAFJBに、感情を素直に返すオーディエンス、それぞれが持ってるエネルギーを集結して作り上げた全8曲のライブ。素敵な光景をありがとうございました！
<セットリスト>
01.DA BOMB
02.DENGEKI
03.A.F.J.B.
04.GOD
05.Toxic feat. MUD
06.Bad morning
07.Splash!!!
08.SCKOOL
文：相沢修一
写真：半田安政