2年間、俺たちはしっかりやってきた。SiMのお客さんを信じて、一歩進みたい

  • 2022年6月26日
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「DEAD POP FESTiVAL 2022」灼熱の2日間を締め括るのは、彼らしかいない。サイレン音が鳴り響くと、観客は両手でメロイック・サインが掲げ、SiMに忠誠心を誓う。そこにSHOW-HATE(G)、SIN(B)、GODRi(Dr)がスタンバイし、最後にMAH(Vo)がのしのしとステージに登場。

「Are You Ready?」と呼びかけると、昨日と同様にTVアニメ『進撃の巨人』オープニング曲「The Rumbling」を振り下ろす。ご存知の通り、米ビルボード1位を3度獲得した楽曲である。演奏が始まるや、スクリーンには『進撃の巨人』のアニメが流れ、赤いライトが楽曲の雰囲気を盛り立てる。DEFTONESやKORNに通じる重く沈み込む超絶ヘヴィなサウンドを経て、MAHのメロディアスな歌声がキャッチーに照り輝く。もう、新たなアンセム曲に興奮は収まらない。

そんなミサ的なムードをぶった切り、軽快なシンセを合図に「CROWS」に容赦なく突入。ポップ&ヘヴィな曲調に観客はジャンプで応えると、次は「R.P.G」へ。緑とピンクの妖しいライトが楽曲の雰囲気を盛り上げ、さらに目まぐるしく切り替わるライトはまるで花火のようだ。すっかり闇に包まれた「CAVE STAGE」は、極彩色の煌めきを放っていた。これにアガらないわけがないだろう。
「SiMです、よろしく! DEAD POPに2日間来てくれて、ありがとう! 梅雨が来てるってTVで言っていたけど、困っちゃうほど晴れちゃって。今のところ事故の報告もなく、大成功ということで。すべてはSiMの日頃から積んでいる徳の高さ、それが天候の良さを引き寄せた。ありがとう!と言ってください」とMAH。

静まり返る会場に「引っかからなかったね。こちらこそ、ありがとう!DEAD POPの2日間、めちゃくちゃいい雰囲気で、これから日本のロック・シーンが始まる。10-FEET、HEY-SMITH、THE ORAL CIGARETTES、SHANKと、仲間のフェスに繋げられたらいい。WANIMAも熊本でやる。俺ら呼ばれてないから、どうでもいいけど。聞いてるかな、KENTAくん? いつか呼んでね、熊本に。みんなが日本中で頑張っている。DEAD POPの勢いが伝わればいい」と、MAHは熱い思いを語った。
そんなマジメなMCの流れを裏切り、「GUNSHOTS」では観客を猿のごとく踊らせ、とてつもないパーティー空間を作り上げた。

「雨が降ると思って、雨の曲を用意してたけど、晴れたんで久しぶりにこの曲をやろうと思います」と説明し、「Same Sky」を披露。夜空に吸い込まれていく、美しくも儚げなメロディを歌い上げるMAH。祈りの歌とも言える深淵な曲調に多くの観客は聴き入っていた。

「自分で作ったいい雰囲気を、自分でぶっ壊す。それもSiMのいいところ」と言った後、「BASEBALL BAT」へと雪崩れ込む。MAHはバットを片手に2ステップを踏み、後半は極悪ブレイクダウンで観客をヘドバン地獄に誘っていく。演奏後、昨日のMCでも触れていたが、「The Rumbling」が世界で大バズリしたことで、「アメリカで腕試しをしてきます」とコメント。さらに嬉しいことに「The Rumbling」を含む4曲入りニューEPを9月に発表するお知らせもあった。加えて、そのEPに伴い、秋のツアーは声援OK、ただしマスクありきで行うことも発表(*MAHの今の気持ちとしては)。「2年間、俺たちはしっかりやってきた。SiMのお客さんを信じて、一歩進みたい」と話すと、拍手が沸き起こっていた。

そこにはバンド全体、音楽業界全体を前に進めたい思いもあるのだろう。「来年のDEAD POPは自由に遊べるように、最後まで闘い抜きましょうー!」と、コロナ禍で奪われた”当たり前”を自分たちの手で奪い返す意思を示すMAH。


そんな気持ちも乗せ、ラストスパートは「Blah Blah Blah」、「f.a.i.t.h」、「KiLLiNG ME」と必殺ナンバー3連打で観客を血祭りに上げるSiM。その渾身のステージングには自分たちはもちろん、様々な人たちの思いを乗せたヘヴィネスが渦巻いていた。
SiMが掲げ続けたレベル・ミュージックは、ここからさらなる力を発揮するに違いない。希望しか見えない、地獄のショウに心底感動した。

<セットリスト>
1.The Rumbling
2.CROWS
3.R.P.G
4.GUNSHOTS
5.Same Sky
6.BASEBALL BAT
7.Blah Blah Blah
8.f.a.i.t.h
9.KiLLiNG ME

文:荒金良介
写真:鈴木公平