「JUICE UP!!のテーマ」に乗せてステージ上を動き回り、KENTA(Vo/Ba)は楽器を持つ前にすでにシャツを脱ぎTシャツ姿になるなど、始まる前からすでにものすごい意気込みの3人。なぜかといえば、KENTAが開口一番「6年ぶりにデッドポップにWANIMAが帰ってきたぞ!」と言った通り。
「まずはSiMに、そして暑かったみんなに」と告げて「THANX」で感謝の気持ちを伝える。実は2016年のDEAD POP FESTiVALでも「THANX」でライヴをスタートさせていたこともここに記載しておく。しかし2016年と違うのは、今はコロナ禍だということ。シンガロング必至のこの曲ももちろんみんなで歌うことは叶わないので、「3人で歌おう!」と言い、KENTA、KO-SHIN(G/Cho)、FUJI(Dr/Cho)の3人で、感謝の気持ちを歌に込めた。
「SiMにいいバトンを渡すために、ガチガチのセットリストを持ってきました」、そう言って始まった今日のWANIMA。彼らはこの1曲目「THANX」から、最後まで35分ノンストップで“ガチガチ”のライヴを見せていくのだった。
KENTAが「ダサいのは今だけやから!」と語りかけてから始まった「ここから」、まだまだくっきりと晴れ渡った青空が眩しく見えた「雨あがり」、思わずKENTAが「デッドポップ最高すぎるっちゃけど!」と声をあげた「Hey Lady」と、アップチューンを続け、オーディエンスと遊び続ける。KO-SHINのギターが心地よく響きわたる「終わりのはじまり」が始まると、思わぬ選曲にオーディエンスのテンションもさらに上がる。しかしもちろん初期曲だけで彼らが「ガチガチのセトリ」と言うわけもなく。<手伸ばして声枯らしてここに立ってんだ>という歌詞が突き刺さる、2020年リリースの「Cheddar Flavor」もしっかり打ち込む。バンドの演奏と共にKENTAがラップを畳み掛ける「Japanese Pride」ではデッドポップファンもお手の物の縦ノリも。WANIMAの持ち得るすべてを、これでもかとねじ込んでくる姿勢だ。
会場の後方にうっすらと夕焼けが広がり始めた時間帯。ここでWANIMAは、テレビドラマ「ナンバMG5」の主題歌としても人気を集めた「眩光」をチョイス。「誰に支えられてここまできたのか、何のために音楽をやっているかを忘れかけていたときにできた曲」だという同曲を、夕空に光る西日へ向かい<真っ暗な夜の雨はもう止んだ>と歌う3人の姿はあまりにもたくましい。
しかしそんな余韻も感じさせない勢いで3人はさらに「BIG UP」「ともに」を連投。この6年の間にバンドの状況が大きく変わったWANIMAだが、余裕は微塵もなく、むしろここにきてさらにまだ爪痕を残そうとするかのような、DEAD POP FESTiVALファンに忘れられまいとするかのような、気迫の、そして“ガチガチ”のライブで、SiMへのバトンをつないだ。
<セットリスト>
1. THANX
2. ここから
3. 雨あがり
4. Hey Lady
5. 終わりのはじまり
6. Cheddar Flavor
7. Japanese Pride
8. 眩光
9. BIG UP
10. ともに
文:小林千絵
写真:鈴木公平