カテゴライズを飛び越えた異種格闘技戦が繰り広げられた、DEAD POP FESTiVAL2025初日。すっかり暗くなった中、けたたましいサイレンが鳴り響けば、客席から突き上げられる無数のメロイックサイン。溢れる高揚感に胸の高鳴りが止まらない。関係性がありすぎるCHAOS STAGEのSHANKからバトンを受け取り、本日のCAVE STAGEを締めくくるべく登場したのがSiMだ。
GODRi (Dr)、SHOW-HATE(G)、SIN(Ba)とステージに姿を現してどデカい一発を鳴らした後、ゆったりと歩みを進めたMAH(Vo)が左手を突き上げて始まったのが「CHAMPiONS」。優しく語りかけるような歌からシャウトへと移り変わっていくが、共にあるのは壮大なスケール感。さすがは世界のSiMである。ふさわしくもあり、頼もしい1曲にいきなり観客は歓喜しっぱなしだ。
MAHの「お前らのすごさ、見せてくれ！」という叫びから突入したのが「DO THE DANCE」。ノリだけ抜き出せば軽快さもあるが、ボトムの強靭さによってグワングワンと揺らす曲に仕上がっている。客席はどこもかしこも密集し、スペースらしいスペースなんて見当たらないが、無理矢理に隙間を見つけて踊る観客。ちょっと笑い出したくなるぐらいの盛り上がりがそこら中で起こっていく。
「今日は朝からサークル・オブ・デスみたいなのをいっぱい見ましたが、やればいいってもんじゃない。やるときにビシッとやるのがカッコいい」という言葉に続けて、「今がそのときだ！」と煽るにもほどがあるMAHの呼びかけでさらなる大爆発が起こっていったのが「Faster Than The Clock」。妖艶なニュアンスも混じえつつ、闇夜を切り裂くMAHの歌声と極悪なヘヴィサウンドの融合が放つインパクトは本当に強烈すぎる。SINは弾きながら足を蹴り上げてクルクルと周り、GODRiは観客を扇動しまくるリズムを叩き出す。そこから、いつものように「死ねー！」とMAHが叫んでドロップしていったのが鋭く重い、文字通りのキラーチューン「KiLLiNG ME」。後ろの後ろの方にいる観客まで座らせて起こした大ジャンプも痛快だった。
中盤戦で驚きだったのが、「みんなを闇に引きずり込みたくなっちゃって」とMAHが前置きして披露したThe Beatlesの「Come Together」。赤いライトに照らされながら、レゲエのスパイスを効かせつつ、ダークで陶酔感のある秀逸な仕上がり。SiMというバンドのポテンシャルの恐ろしさ。この広い会場をまた新たな色味で染め上げ、そして飲み込んでいくのだ。
そんなムードから一転、一気に急上昇させるのも歴戦のライヴバンドだからこそ。ロックンロールで蹴飛ばすようなノリもいい、観客がコーラスに大声を合わせた「Amy」は実に鮮烈だった。
そして、初出演のアーティストも多かった1日目ではあったが、観客がいつもの空気を作ってくれた、と謝辞を述べつつ、「主催がカッコいいライヴをしてないと、出なくてもいいんじゃないかと思われてしまうけど、そのプレッシャーに15年間、勝ち続けてきたのがSiMです」と力強くMAHが語り、「世界レベルの音楽ってヤツを見せてやりますよ」と未来を切り開く突破口となった「The Rumbling」を放ち、壮大でアンセミックな響きを轟かせ、本編のラストナンバーとしてセレクトしたのが「PANDORA」。高速ビートで隙間なくフルスイングし、颯爽とステージを去っていった。
アンコールでは全出演者と集合写真を撮りつつ、MAHは行き違いがあった細美武士と認め合うことができ、この日のELLEGARDENのライヴを観て好きになったと口にしたり、来年のDEAD POP FESTiVALの開催を明言したり(正式発表は明日とのこと)、と胸の内や想いを観客へ伝えてから、しなやかなキャッチーさで会場全体を先導した「Blah Blah Blah」とウォール・オブ・デスを誘発し、その喧騒以上の爆音を投下した「f.a.i.t.h」をプレイ。1日目にも関わらず、大団円の様相ではあったが、そこへ間髪入れずに「帰れー！」と突きつけるMAH。その言葉を聴くやいなやすぐに帰路へつく観客たち。そんな信頼関係も素晴らしかった。
＜セットリスト＞
01 CHANMPiONS
02 DO THE DANCE
03 Faster Than The Clock
04 KiLLiNG ME
05 Come Together
06 Amy
07 The Rumbling
08 PANDORA
en01 Blah Blah Blah
en02 f.a.i.t.h
文：ヤコウリュウジ
写真：鈴木公平／半田安政