coldrainのCHAOS STAGEはもはや事件 想像を超える混沌の渦に酔う

  • 2024年6月30日
  • 0630
  • coldrain

本当にエゲツないな、coldrain。

DEAD POP FESTiVAL 2024のタイムテーブルで誰もが1番驚いたのはcoldrainの位置だ。自らCHAOS STAGEを希望したという話を聞いたのだが、だからと言って本当にサブステージに出るとは、coldrainもSiMもドSが過ぎる。だが、考えようによっては他に類を見ない選択でもある。よく「もう、このバンドにはサブステージは狭過ぎる。次はメインステージで見たい」という表現をする。DAY1のPaleduskのように。だが、なかなか逆バージョンはない。

CAVE STAGEでのライブしか想像できないDPFの超常連バンドが、その勢いのままに小さい方でやったらどうなるのか? っていう。その大いなる実験であり、DPFならではの遊び心が炸裂したのが、DEAD POP FESTiVAL 2024のCHAOS STAGEのトリ、coldrainなのだ。……しかし、つくづく想定外のレベルでハンパじゃなかった。

まずアンプなどの機材関連、いわゆる装備がメインステージのそれ(coldrainはアンプをステージに置かずラインで音を拾っているのでCHAOS STAGEをフルに使える)。続いて、言わずもがな演奏にアクト、いわゆる攻撃力がメインステージのそれ。そんな完成度を持ってCHAOS STAGEでライブする光景は異様なすさまじさがあった。

霧のような雨を青いライトが照らす中、恒例の壮大なSEが流れ、クラップハンズでメンバーを迎えるオーディエンス。一挙に上がるリフトを前に「置いてかれんなよ!」というMasato(Vo)のひと言から、いきなりの「VENA」でライブがスタートした。この後、「FINAL DESTINATION」、「F.T.T.T」、「Cut Me」とキラーチューンが続いたのだが、なぜにそんな若手バンドが攻め立てるようなアグレッシブ過ぎるセットリストにしたのか理解できない。お陰でフロアは未曾有の壊滅状態。前方には常にリフトとダイバーが溜まり、後方は常にサークルができ、モッシュとも何とも言えないぐちゃぐちゃな状態が続くことになった。Masatoは曲の合間に「1番カオスな時間へようこそ!」、「1秒もムダにしねぇぞ!」と檄を入れたが、まさにその通りだった。

想像を超えたカオスが生まれたのは次曲だ。昨年のDPFで初めて披露した新曲「NEW DAWN」を「昨年の答え合わせ! 1年でどれだけ進化したか見せてやるよ!」という言葉からプレイするのかと思いきや、Masato「やっぱりお前の中で歌いたいわ。ピットをあけろ!」と、こともあろうかサークルピットの中に降り立ち、その場で歌い上げるという、トンデモ・アクトに。もちろんMasatoの姿はすぐさま見えなくなったのだが声は聴こえ続けている。ヘドバンの波の中で、モッシュピットに揉まれながらMasatoが「NEW DAWN」を歌い上げる。しかも陽が落ちて、なおさらどこにいるかわかりゃしない。なんて説明していいかわからないほどの最高のカオス!

その後、タイミングを見計らって演奏を止めステージにカムバック。そして、「無茶だったわ(笑)」のひと言。『そりゃ無茶ですよ、Masatoさん』と思っていたフロア中から笑い声と大きな拍手が送られた。

続いて、ウグイス嬢然とした声によるアナウンスで「モッシュ、ダイブ、ウォール・オブ・デスを禁止することを禁止していると思われます。速やかに真ん中をあけてください。あけてください。あけてください。」とDPFの禁止事項の確認しながらのピット要請。

演奏されたのは、これまたcoldrainの狂気を感じさせるアルバム『The Enemy Inside』からの超強力メドレーだ。激し過ぎるフロアではあったが、Masatoの「助け合え!」の言葉もあって、オーディエンスは各々に暴れ狂うことに成功したようだ。

演奏後、楽器のハウリング音の中を無言で見つめるMasato。そこに手が差し伸べられたことを確認すると、「ゲストVo! Paledusk、Kaito! Crossfaith、Koie!」と2人の盟友をステージに呼び込んで、ラストは「THE REVELATION」。この3人がCHAOS STAGEに所狭しと並び、マイクリレーしながらシャウトする光景を見て“最強”としか思えなかった。もちろんサビは全員でシンガロング。常にリフト&モッシュ&サークルピットは変わらず。最後に「We’re coldrain!」と名乗りをあげ、長く大きな拍手の中でライブを締め括った。

息つく暇もないような時間であり、本当にあっという間に時間が過ぎてしまった。この場にいたオーディエンスにとっても忘れ難い贅沢な時間になったに違いない。これは、今後DPFが続いていくにあたって語り継がれる事件と言って差し支えないだろう。また、coldrainがDPFのヒストリーに残る伝説を刻んだのだ。

<セットリスト>

  1. VENA
  2. FINAL DESTINATION
  3. F.T.T.T
  4. Cut Me
  5. NEW DAWN
  6. メドレー(To Be Alive~New Fate~Rescue Me~Adrenaline)
  7. THE REVELATION feat. Koie & Kaito

文:田島諒
写真:半田安政