音に身を任せることが心地良すぎたASOUNDのオリジナル音世界

  • 2024年6月30日
  • 0630
  • ASOUND

DPFキッズのみなさんは、DPF初出場のASOUNDというバンドはご存じだろうか。初耳という方にオフィシャルサイトから引用させてもらうと、ASOUNDは2020年のコロナ禍に誕生した次世代バンド。メンバーは全員20代前半で、魅惑的なハイトーンヴォイスで聴く者を引き込むARIWA(Vo, Tb)を中心に、Couta(Key)、Soma(Ba)、Manaw(Dr)の4人組。その奏でられる音はレゲエであり、R&Bであり、ファンクでありと自由さが気持ちがいい。そんな初参加となったASOUNDのライブが、アツくカオスティックなライブを見せつけたROTTENGRAFFTYからバトンを受け取りスタートした。

リハーサルではMinnie Ripertonの名曲「Lovin’ You」のカヴァーを披露していたんだけど、重厚でダビーなサウンドにARIWAの透き通った歌声が見事に混じり合っていて、ロットンで暴れ回った体を優しく包み込んでくれた。こうして幕開けたASOUNDのライブは、インスト曲からARIWAが吹く美しいトロンボーンが気持ちいい「Good Vibration」に。20代とは感じさせないプレイで思わず体を左右に揺さぶってしまうほど、穏やかなサウンドがいい。音は幾重にも重なり、揺らぎ、めくれ返っていくようだ。周りを見渡せば、他のオーディエンスも左右に体を揺らし始めている。その音に海から流れてくる心地よい風と、揺れるオーディエンスのほのかな熱気が混ざり合っていって、体がふわふわしてくる。気ままで心地いい音に歌声が空に向かって登っていく。

ライブが進むつれて彼女達のサウンドと歌は、まるで音楽が生きているかのようにより熱を帯びてきた。目の前に手を伸ばせば、音をつかめそうだ。「みなさん、レゲエミュージックは好きですかー!」といったARIWAの呼びかけで始まった「オリジナル」は歌詞も素晴らしく、オーディエンスはクラップハンズでリアクションを返す。

<己の価値を決めるのは自分だけ まじでどんだけ自分愛せるかそれだけ>

言葉にメロディが心の奥底まで溶け込んできて、自分の世界を広げてくれる。続く「Meditation」はARIWAの歌声と楽器隊のコーラスが美しいほど合わさり、じんわりと体に響いてくる。後半戦は深い海の底に連れて行ってくれた新曲「Lovely Freak」に、海の上まで引き戻してくれた「Feel it」でフィニッシュ。まるで海の上にぷかぷかと浮いているようなサウンドに心が満たされた。まだまだ聴いたことや観たことがないアーティストはたくさんいるけど、積極的に触れていきたいと気づかせてくれた30分だった。

<セットリスト>

  1. No more trouble(Intro)
  2. Good Vibration
  3. Midnight Drive
  4. オリジナル
  5. Meditation
  6. Lovely Freak
  7. Feel it

文:相沢修一
写真:半田安政