Crossfaithはこのフェスの主催バンドであろうと全力で打ち負かし、食い散らかすことが敬意の最上の表し方であると細胞で理解している。

  • 2019年6月23日
  • 0623

5人がステージに登場した瞬間から、すでにそこは「狂騒空間」である。側転からのバク転を決めて登場するTatsuyaに大湧きのオーディエンスだが、その歓声すらも切り裂く痛烈な電子音が鳴り響くと、お馴染みの旗を振るKoieが「待たせたな、ここからがオンパレードだ」と手短な宣戦布告。

“Catastrophie”の名の通り、ひたすらアゲて落としてを行き来するEDMと凶悪極まりないメタルコアの融合が、フィジカル的にもマインド的にも限界点を突破させていくようである。行くところまでヘヴィに振り切った音楽とハイパーなダンスミュージックの癒合は、FunもFuckも含めて感情のすべてを解き放って、人間のプリミティヴな衝動を素っ裸にするためのものなのだ。“The Perfect Nightmare”では早くもウォールオブデスを出現させ、初っ端から助走なしでCAVE STAGEを散らかしていく。その極限までヘヴィな音だけでもPAテントが揺れるほどだが、さらに観客全体のジャンプと狂った踊りの数々で、地面自体が音を発しているように錯覚する。画としても音としてもなにしろ強烈なオープニングである。

しかしそのライヴの髄を貫いているのは一切ブレることのない演奏と歌の凄まじさで、たとえば“Freedom”で言えば、トラップを食ったラップからシームレスにグロウルへと移行するKoieの歌のスキルが「跳ぶ」も「落とす」も自在にコントロールしているのである。

さらに、SiMにちなんで披露された“Blah Blah Blah”のRemixヴァージョンでは、ドラムンベースを基盤にして、原曲よりもさらに凶悪な叫びとビートを叩き込む。「俺の覚えでは、これってSiMの代表曲やねんけど? 全然盛り上がってないけど?」と観客を煽ってさらに導線に着火するところも上手い。愛すべきSiMに捧げますと叫んで披露された“Blah Blah Blah”のRemixだったが、もちろん「仲良しこよしの印」みたいなヌルいもので終わるはずはなく。そこから立て続けになだれ込んだのは、Crossfaith自身の獰猛さとブルータルさを研ぎに研いだ代表曲“Mirror”だった。盟友に目一杯のリスペクトと愛を捧げると同時に、その敬意の最上の表し方はたったひとつ――このフェスの主催バンドであろうと全力で打ち負かし食い散らかすことであると細胞で理解しているようなライヴである。ライヴハウス時代から互いに刀を研ぎ続けて、どちらが先に斬るかの勝負を繰り返してきたバンド達ならではのアクトが連打されていくのが、言うまでもなくDEAD POP FESTiVALの醍醐味だ。

そこからはMasatoを呼び込み、LINKIN PARKの“Faint”カヴァーを叩き込む。ラップパートを悠々と泳ぐKoieに対し、叫びスレスレのスリリングなラインを飛翔していくMasatoの歌声。その掛け合いのコントラストは本家をそのまま想起させる以上に、日本のメインストリームに対してもロックシーンに対してもオルタナティヴな立ち位置からスタートした彼らの世代の絆になってきたルーツ……2000年代のニューメタルへの敬意と愛をストレートに聴かせるものだったし、ひたすらハイパーな音塊が鳴り響くステージにあって、音の鎧を脱いだ歌の行き来がダイナミックに展開していく“Faint”は、この場でしか見られない貴重さとともに、彼らの音楽の根っこにあるものが克明に伝わってくるという意味でも光っていた。

Koieはなんども「ブチ上がってますか?」と観客に問う。実際、Crossfaithの音楽は一見「騒ぐ」、「暴れる」こと自体に主眼を置いているものと捉えられがちだ。しかしラストに鳴らされた“Monolith”に顕著なように、どれだけアッパーな音塊が叩き込まれていようと、その音楽の根っこには底なしの闇と痛切な叫びがある。日々の何かに、あるいは自分自身の機嫌取りな一面に抑え込まれていた名前のないエモーションの数々を引きずり出し、奥底に眠っている声の覚醒を促すために彼らは暴動と狂騒の限りを尽くすし、その暴動や狂気は音楽の中でこそ「赦される」ものだ。そもそもロックとはそんな名もない感情を言葉にならない声で放ち続けて転がってきたものだと伝えているのが、DEAD POP FESTiVALに集った仲間達であり、Crossfaithなのだ。草原を焼き尽くすほどの轟音で、これ以上ないバトンをSiMに渡すアクトだった。

M1.Deus Ex Machina
M2.Catastrophe
M3.The Perfect Nightmare
M4.Freedom
M5.Blah Blah Blah Remix
M6.Mirror
M7.Faint (feat. Masato from coldrain)
M8.Monolith

文 矢島大地
写真 スズキコウヘイ