圧倒的に異質かつ孤高の存在感を放つ、凛として時雨の怖いほど刹那的なムード。

  • 2019年6月23日
  • 0623

ピー、ガガガガ、キューン、ザザザザ……規則性のないノイズ音がCAVE STAGEに響きわたるなか、メンバーが登場した。初登場となる凛として時雨だ。1曲目は「I was music」。TK(Vo/Gt)の切り裂くような第一声にワッと大きな歓声が湧き起こった。ジャンルも、世代も越えて、「壁を壊す」をテーマに掲げるDEAD POP FESTiVALは、決してジャンル云々で語るようなフェスではないけれど、得てしてパンク、メロコア系のバンドが多いなかでは、凛として時雨は、圧倒的に異質かつ孤高の存在感を放っていた。「DISCO FLIGHT」では、345(Ba)が思い切り歪ませた獰猛なベースに、ピエール中野(Dr)の破壊力のあるドラムが加わり、最後にTKの鮮やかなギターが重なると、激しく明滅する光の後悔も相まって、言い様のないカタルシスを生み出していく。

「はじめまして、凛として時雨です、よろしくお願いします」。TKが一言だけあいさつをすると、「DIE meets HARD」へ。抑制されたテンポのなかで鳴らされるダンサブルなビートのなかで、“世界を救えるなら”“僕を救ってよ”というTKの痛烈な叫びだけが、やけにくっきりとした輪郭をもって耳に飛び込んできた。タイトルのとおり、高速で飛び交うレーザービームのようなギターの音がトランシーな空間を作りあげた「laser beamer」へ。激しくも繊細、冷徹でありながら熱く、破壊的でありながら耽美。そんな相反するイメージが重なりあいながら、すさまじい執念で紡ぎ出される“凛として時雨”の世界観は、いまこの瞬間に感じていることがすべて、とでも言うような、怖いほど刹那的なムードが漂う。

「デッドポップフェス、良い感じじゃないですか。こんな狂暴なバンドを集められるのはSiMだけだと思います」と、SiMへの敬意を表したピエール中野。オフィシャルサイトに寄せられたコメントによると、凛として時雨とSiMが対バンをするのは、実に14年ぶりだという。それがDEAD POP FESTiVALの10周年という節目の年に実現したという事実も熱い。そんななか「僕らはゆるふわポップバンドとして活躍していきたいと思います」と、バンドの実情とはかかけ離れた自己紹介で会場を笑わせたピエール中野。「ゆるふわバンドなりに、もっとも激しい曲を用意してきた」と言って繰り出したのは、「nakano kill you」だ。怒涛のドラムが炸裂したカオティックなファストチューンでステージが真っ赤に染まると、破壊力のあるサビでふたりのツインボーカルが美しく交錯した「Telecastic fake show」へ。いくつものハイライトを生み出しながら最後に辿り着いたラストナンバー「感覚UFO」はだった。わかりやすいコール&レスポンスも、手拍子もないが、ただ一心不乱に演奏に没頭する3人の狂気的な演奏だけでCAVE STAGEを熱狂で埋め尽くす。凛として時雨というバンドが持つ地力の凄まじさを体感するステージだった。

M1. I was music
M2. DISCO FLIGHT
M3. DIE meets HARD
M4. laser beamer
M5. nakano kill you
M6. Telecastic fake show
M7. 感覚UFO

文 秦理絵
写真 スズキコウヘイ