ジャズとDEAD POPとユーモアと―― SOILがDPFに開けた風穴

  • 2019年6月23日
  • 0623

過去、様々なジャンルを飲み込んできたDPFだが、ジャズが鳴らされるのは初めてではなかろうか。よい音楽、よいバンドであれば分け隔てなく声をかけていくSiMの面々には本当に頭が下がる。ラウド/パンク以前に音楽のファンとして非常に正しい姿勢だし、それをそのまま反映できるDPFはいいフェスだと思う。

HEY-SMITHの出番が終わり、SOIL & “PIMP” SESSIONSの面々がサウンドチェックを始めると、これまでのパンクな空気がガラッと変わる。社長(アジテーター)による、“DEAD POP、are you fucikn’ ready!?”という号令とともに、享楽のジャズショウが幕を開けた。「Hollow」ではまず、タブゾンビ(Tp)とサポートメンバーのサポート栗原健(Sax)がバンドを牽引し、丈青(Key)がフリーキーな鍵盤さばきで高揚感を高めていく。手数の多いみどりん(Dr)のドラムが最高にカッコいいし、秋田ゴールドマンによるベースもブリブリに空気を震わせていた。そして、そんな彼らの狂ったような演奏が次第に大きなうねりに収束していくさまがたまらないんだ。

そのままいい勢いに乗って次の曲に入っていくかと思いきや、演奏が始まって数秒でタブゾンビが両手を振ってバンドの演奏を止めさせる。仕込みではなく、わりとガチっぽい止め方。何かと思えば、「思ってたのと違う」と。観客のノリに不満をもったわけだ。そして、「休憩時間じゃねえぞ!」と一喝。で、気を取り直して曲に戻……らない。なんと、自分たちが鹿児島で主催するフェス「THE GREAT SATSUMANIAN HESTIVAL」の宣伝を始めてしまった。今年のサツマニアンにはSiMも出演するということで、ここでDPFキッズをがっつり取り込もうという魂胆。ひとしきり説明を終えたあと、「ひと言言わせてくれ……セックス」とタブゾンビが卑怯な技でひと笑いを起こし、再び「おい! 休憩時間じゃねえぞ」と叱り飛ばすと、「いや、逆にうちらが休憩してるぞ」とすぐさま社長がツッコむ。メンバーの見た目や強烈な演奏からはかなりストイックそうな印象を受けるが、実はこんな一面もある。

そして、「鬼!」「弁!」「SUMMER!」「GODDNESS!」のコールアンドレスポンスもビシッとキマリ、最後の曲「SUMMER GODDESS」の演奏が始まると、フィールドの空気は序盤とはだいぶ違ったものになっていた。緊張感をもってステージを見つめていた観客も多かっただろうが、いつの間にか思い思いの楽しみ方でジャズを食らっている。人間業とは思えない鍵盤の高速連打を含む、丈青の強烈なソロパートは今日のハイライトと言えよう。気づけば、あっという間の30分だった。

SOILにとってDPFの舞台はやりづらいものがあったかもしれない。しかし、最初は棒立ちだったSLANGのTシャツを着たゴツい兄ちゃんが最後はガクガク体を揺らしていたから、しっかり彼らの魂は届いていたはずだ。それにしても、タブゾンビが自分たちを称して“ジャズ界のONE OK ROCK”って言ってたの、なんか笑ったなあ。

M1. 閃く刃
M2. Hollow
M3. Moanin’ (Thema Only)
M4.POP KORN
M5. SUMMER GODDESS

文 阿刀 “DA” 大志
写真 半田安政