俺たちをここに立たせてくれたSiM!彼らへの恩返しは、ここにいる全員で楽しむこと!

  • 2019年6月23日
  • 0623

DPFのオープニングアクトは、このフェスが誇るべき特色のひとつ。SiMのメンバー自ら厳選したバンドは信用に値するものが多く、昨年出演したAiliph Doepaなんてあまりの衝撃で、その後たびたびライブへ足を運ぶことになるほどのファンになってしまった。だから今年も、オープニングアクトが発表されたと同時に音をチェックし、このレポートの執筆を志願した。そういう意味では、たとえオープニングアクトとはいえ、この枠は少々ハードルが高くなっていることもたしか。

フィールドにまで聞こえるほど大きな気合い入れをカマしたあと、9人という大所帯のfrailCHAOS STAGEに登場し、IKKEによるケツを揺らすほどのぶっといベースラインとともに「Spectrum66」がスタート。まだ人が集まりきってない時間帯ということもあり、フィールドには大きなサークルピットが発生した。

彼らは“Brasscore”という新たなジャンルを掲げているが、サウンドは聴き馴染みがあるようでいて、たしかに新しい。ブラス隊がいるからといってスカパンクではないし、時おりメタルっぽいギターフレーズも入ってくる。ハードコアな匂いを感じさせるRyoのドスの利いたボーカルも耳に心地よい。様々なジャンルをナチュラルに融合させ、ヘヴィにならすのがこのバンドの持ち味なのだろう。9人というバンド編成は非常に贅沢で、演奏に足りない音が一切なく、すさまじい音圧で迫ってくる。これは4人のブラス隊のほかに、ギターが2人いるというのもかなり大きい。それぞれの音がぶつかり合うことなく共存しているのは、緻密なアレンジの賜物だ。

frailは前身となるバンドが解散したあとに結成されたという経緯がある。各メンバーの胸には様々な想いがよぎっていたことだろう。Ryoの「辞めなくてよかった! それもこれも全部、俺たちをここに立たせてくれたSiMのおかげ!」という言葉は9人の総意だったはず。そして、「彼らへの恩返しは、ここにいる全員で楽しむこと!」と「Just surrender」をプレイ。この頃にはもうDPFの観客もfrailの楽しみ方を心得たようで、サークルモッシュやクラウドサーフで暴れ倒しはじめる。それは曲中にRyoが「ケガはしないでください!」と注意喚起を促すほど。

演奏陣も見事だが、Ryoのフロントマンとしての才能も素晴らしいものがある。声は怖いけど決して喧嘩腰なスタイルではなく、観客をフルで楽しませようという気持ちが強い。彼の意識はステージ前だけでなく、coldrain待ちのCAVE STAGE最前列にまで向けられており、グッとテンポを落とした「Honey so sweet」では場内にいる全員の手を振らせていた。この光景、けっこうすごいものがある。

ラストの「Fake convoy」は、この場に集まった大勢の観客をライブハウスでのライブへと引き寄せるパワーのあるパフォーマンスとなった。SiMの期待にしっかり応えたfrail、本当にカッコよかった。今度はどこかのライブハウスで再会したいものだ。いや~、やっぱりすげえや、DPFのオープニングアクト。

セットリスト:
M1.Spectrum66
M2.HELLO”O”WORK
M3.Just surrender
M4.Honey so sweet
M5.Fake convoy

写真 半田安政
文 阿刀 “DA” 大志