傷だらけのエンジェルが悪魔になって帰ってきた! Crossfaithが見せた“本物のエンタテインメント”

  • 2024年6月30日
  • 0630
  • Crossfaith

2022年夏に活動を休止させたCrossfaithは、2023年6月に活動を再開させた。その月にはもちろんDEAD POP FESTiVALがあり、たくましい姿を見せてくれた。そこから1年。2024年5月末に6年ぶりとなるフルアルバム「AЯK」をリリースしたCrossfaithが、再びDEAD POP FESTiVALにやってきた。Koie(Vo)は「去年は傷だらけのエンジェルの状態だったけど、今日は悪魔で帰ってきました」と表現した。……待って。悪魔? なんかもっとデカくない? 傷だらけのエンジェルだったCrossfaithは、悪魔になって、さらに生命力とバカデカい推進力と、それを乗せるだけのパンプアップされたスケール感と轟音を蓄えて、めちゃくちゃデカくなっている。

そんな“今の”Crossfaithを見せつけるように、ライブは最新アルバム「AЯK」のイントロダクション「The Final Call」から。一人ずつゆっくりステージに登場していくと、最後に姿を現したKoie(Vo)は大きなフラッグを掲げたまままっすぐにフロアへ。Tatsuya Amano(Dr)のビートを合図に、「DEAD POP、始めようか!」と声を上げると、リフトで待ち構えるキッズへ勝負を挑むような目で立ち向かう。さらにサークルモッシュをしようと形作っていたものの、Koieが降りてきたことで体制を変えようとしていたフロアへ「サークル、誰が解除していいって言った?」とこちらにも挑発。とにかくのっけからブチ上がりたいのだ。そしてDaiki(G)を迎えた新体制で最初に作った曲だという「ZERO」で口火を切ると、「Monolith」「Countdown To Hell」とキラーチューンを惜しみなく投下。Kazuki(G)とDaikiが高らかに鳴らす歪んだギター、Tatsuya Amano(Dr)が生み出すパワフルなブラストビート、KoieとTeru(Program/Vision)のシャウトが満ち満ちで、雨が邪魔だとか厄介だとか、そんなことを思う隙を1秒たりとも与えない。パンプアップした悪魔、怖い!

SNSでのくだらない論争に一瞥をくれ「SNSの中に真実を探ろうとしてもそんなところに真実はない。真実が、俺たちの正解がどこにあるかはお前らがよく知ってるよな?」と目の前で、雨に打たれながらも必死にステージを見つめるオーディエンスに問いかけるKoie。そして「本物のエンタテインメント見せてやるからついてこいよ!」と言って見せたのは、SKINDREDのBenji Webbeを呼び込んでフィーチャリングした「Wildfire feat. Benji Webbe from SKINDRED」。豪華な本家のパフォーマンスに、フロアはお祭り状態に。

「お前らの歌があって初めて完成する曲なので」と言って歌を促した「Warriors」では、「Warriors!」というシンガロングと共に多くの拳がつきあがる。そこにMAHを召喚。さらに冒頭のパートをMasato(coldrain)に託すDEAD POP仕様で披露した。この曲はMAHをフィーチャリングゲストに迎えた曲を作りたいと思い、昨年のDEAD POP FESTiVALに出演した翌日に制作した楽曲だという。1年後に、再びDEAD POP FESTiVALのステージで披露できた喜びはどれほどまでか。熱狂冷めやらぬ中、最後に「XENO」で壮大にそのステージを結んだ。

Koieは「人生は一度きりやから、もっと面白いことしようぜ」と何度も言っていた。バンドの危機を乗り越えて、再びこのステージに立った彼らが言うこの言葉、そしてそんな彼らが繰り出す新曲群の説得力は、これまで以上に説得力を増している。そんな彼らは2日後の7月2日から、「AЯK」を携えたツアーに出る。

<セットリスト>

  1. The Final Call
  2. ZERO
  3. Monolith
  4. Countdown To Hell
  5. Wildfire feat. Benji Webbe from SKINDRED
  6. Warriors feat. MAH from SiM
  7. XENO

文:小林千絵
写真:鈴木公平