「海が似合わない我々山のバンドに、このステージをもらえて、本当にありがとう」SiMの期待に見事応えたG-FREAK FACTORYの熱演

  • 2024年6月30日
  • 0630
  • G-FREAK FACTORY

「このステージを若手に譲るチャンスもタイミングもたくさんあったけど、海が似合わない我々山のバンド、G-FREAK-FACTORYに、このステージをもらえて、本当にありがとうございます!」

茂木洋晃(Vo)が「見ての通り、なかなかの不良バンドです」と照れ隠しに言いながら、そんなふうに語ったのは、CHAOS STAGEの中盤にG-FREAK FACTORYをどんと据え、同ステージの屋台骨になってほしいというSiMの思いを汲み取ったからこそなんじゃないか。だとしたら、その期待に全力で応えるだけだ。30分のステージに代表曲中の代表曲と言える全5曲を凝縮したセットリストからは、バンドのそんな熱い思いがひしひしと伝わってきた。

タイトにリズムを刻むバンドの演奏がいきなり観客にダイブさせ、《生きてるって証その声を》と歌う茂木に応え、観客が声を上げた「Too oLD To KNoW」から、「日本のアフリカ、群馬から来ました。何を隠そうビジュアル系バンド、G-FREAK FACTORYです。今日もかっこよくてすみません!」と茂木によるお馴染みの挨拶を挟んで「REAL SIGN」に繋げ、ヒプノティックなグルーブでCHAOS STAGEを揺らせた序盤。そこから一転、中盤は「Fire」「ダディ・ダーリン」とバラードを繋げ、観客の気持ちを鷲掴みにしながら、その雄姿を彼らの目にしっかりと焼き付ける。

バラードと言える曲調ながら、「Fire」は岩本怜王(Dr)の力強いキックと言葉をたたみかける茂木の歌声が観客に拳を振らせる。煽るのではなく、熱と魂を込め、聴く者を鼓舞する歌と演奏は、まさにG-FREAK FACTORYの真骨頂。

とうとう本降りになった雨について、「太陽のうれション。いや、向こうに見えるビルのエアコンの室外機の水。うれションが激しくなるようでしたら、すべてcoldrainってことでよろしいでしょうか」とこの日、CHAOS STAGEのトリを務めるcoldrainにエールを贈って、観客を沸かせた茂木は「震災で始まった2024年。あらゆるフェスが開催するのか、あきらめるのか悩んでいる中、開催を決めたSiMの覚悟に屋根のあるフェスをやってるからわかるんだけど、脱帽です。SiM、ありがとう」と、ともにロックとレゲエを愛する盟友を称えることも忘れない。

戦争やテクノロジーが人間を食い尽くそうとしている今の世の中を憂いながら、歌い上げた泣きのバラードの「ダディ・ダーリン」。しかし、そこに繋げたラスト・ナンバーの「らしくあれと」で茂木は《大丈夫だ 愛さえあれば》というメッセージをハートウォーミングなメロディに乗せてみせる。

原田季征(G)がパワーコードをかき鳴らし、吉橋“yossy”伸之(Ba)がタイトにリズムを刻むロックンロール調の演奏が再び観客をダイブに駆り立て、《いつもここにいるから 隠れないで帰ってこいよ》という歌詞を、《いつもここに来るから ライブハウスに帰ってこいよ》と変えた茂木のアドリブが観客に快哉を叫ばせた。

「笑え!」とダメ押しでメッセージを送った茂木は「ローカル・バンドの最高傑作、G-FREAK FACTORY!」と声を上げ、熱演を締めくくった。それは信念に貫かれた活動に裏付けられた揺らがない自信の証。彼らがいるのといないのとでは、この日のCHAOS STAGEの印象は全然違うものになっていただろう。

<セットリスト>

  1. Too oLD To KNoW
  2. REAL SIGN
  3. Fire
  4. ダディ・ダーリン
  5. らしくあれと

文:山口智男
写真:半田安政