DEAD POPに咲いたジャンルレスでニュースクールなMUCCワールド

SiMのMAHは「ジャンルの壁を壊す」とDEAD POP FESTiVALを通して言い続けてきた。その言葉を体現するバンドが今年結成20周年を迎えたヴィジュアル系バンド、MUCCである。彼らの出演はDEAD POP FESTiVALをより説得力のあるフェスへと導くものであった。

結成以来、常に進化を繰り返してきたMUCCはジャンルの壁を越えるどころかひとつのバンドの中に様々なジャンルが混合した「MUCC」というオリジナルなジャンルを確立してきたバンドである。それは今回のDEAD POP FESTiVALのステージでも感じることが出来た。

ステージにメンバーが登場し逹瑯(Vo)が静かに右手を掲げる。そのままオーディエンスに向けて放たれた投げキッスが合図となり「蘭鋳」が始まるとCHAOS STAGEは文字通りカオスな地獄絵図へと化したのだ。イントロに合わせ「ハイ!ハイ!ハイ!ハイ!」とお馴染みのコールで応戦する夢鳥(MUCCファン)達。そこに対抗するようにキッズもダイブで参戦。この入り乱れたクロスオーバー感こそDEAD POP FESTiVALでSiMが観たかった光景なのかもしれない。

続いて印象的なギターリフからスタートした「絶体絶命」では「こめかみを打ち抜いてこのまま死んじまいたいけど汚れるのが嫌だって君は駄々をこねるんだ」というまさにデッドポップな歌詞が突き刺さる。「絶体絶命!」というキレキレのシャウトが炸裂すると「DEAD POP FESTiVAL、めちゃくちゃ良いな!」と逹瑯もつい言葉をこぼすほど。

今年1月に発表されたニューアルバム『脈拍』からは「KILLEЯ」と「りんご」を演奏。ジャンルレスで何でもありなMUCCをそのまま曲にしたような「KILLEЯ」で逹瑯がマイクスタンドごと客席に飛び込むとオーディエンスの興奮は最高潮へ。ツーステップやブレイクダウン、そこに乗るギターソロと、90年代のヴィジュアル系と2017年のヴィジュアル系がフュージョンしたかのようなアレンジにMUCCの引き出しの多さを痛感する。続く「りんご」ではダブやレゲエを彷彿とさせるスネアの音に自然と身体が揺れる。この幅広さと自由さがMUCCなのだろう。

「みなさん、ヴィジュアル系は好きですか?熱いMCや良い話が苦手なので伝えたいことは曲で伝えます」と最後に披露されたのは「TONIGHT」だ。壮大なイントロとシンガロングはまさにニュースクール・ヴィジュアル系。モッシュ、ダイブ、ツーステップ、ヘッドバンギングと思い思いの表現でMUCCのライブを楽しむ夢鳥とキッズの姿は本当に美しかった。激しさと美しさが同居するMUCCの世界観を凝縮した圧倒的なライブでDEAD POP FESTiVALに大きな爪痕を残したことは言うまでもないだろう。

【SET LIST】
01.蘭鋳
02.絶体絶命
03.KILLEЯ
04.りんご
05.TONIGHT

取材・文:柴山順次
写真:Kohei Suzuki