ひとりひとりと向き合った誰も独りにしない「ありがとう」の連鎖

「DEAD POPのど真ん中でポップミュージックをやらせていただきます!レペゼン・ジャパニーズ・ポップ・ミュージック・フロム・トウキョウ・ジャパン、俺達がSUPER BEAVERです!」と叫ぶと渋谷龍太(Vo)はライブ開始から10秒で客席に飛び込んでいた。

DEAD POP FESTiVAL初登場となるSUPER BEAVER。彼らのライブはバンドとオーディエンスの距離感や関係性が物凄く近い。自分達の音楽に正面からぶつかってくる者を決して独りにしないバンド、それがSUPER BEAVERなのだ。そうやって生まれる奇跡のような瞬間がDEAD POP FESTiVALでもまさに起きようとしていた。

降り出した雨を切り裂くように響き渡る彼らの音に応えようと手を挙げるオーディエンス。そのひとりひとりに向けて歌った「証明」が彼らが誰も独りにしないということを文字通り証明していた。「僕もあなたも一人なんだよ」「だから独りきりじゃ成り立たないんだよ」と、不特定多数ではなく目の前の「あなた」に届くように歌う彼らのライブは「一対一」なのだ。その一対一の関係性が何通りもあって、その集合体が彼らのライブを生み出すのだと無数に上がる手を見ながら1曲目からクライマックスの連続のような光景が続く。渋谷も「あなたの前で歌えることが嬉しい」と真っ直ぐな目で集まったひとりひとりの顔を眺めていた。

DEAD POP FESTiVALにはジャンルの壁を越えた多数のバンドが出演している。「世に蔓延るジャンルという言葉があるけど、それが弊害となっているのならジャンルじゃなくて音楽の真ん中にあるものを信じて欲しい」と「青い春」を熱唱し「壁を壊したいんだろ?もっといけますか!」と会場を煽ると割れんばかりの大合唱でオーディエンスも応える。その瞬間、確実にジャンルの壁は無くなっていただろう。「大事なことは過去ではなく今あなたがなにをしたいか、どんな行動をとるか」と問いかけるように演奏された「秘密」では物も情報も何でも簡単に手に入る現在において何が本当に大切かを確認するかのように歌う。「DEAD POP FESTiVALに集まっているあなた達なら大丈夫」と、今日ここでこの瞬間に生まれた信頼関係を物語るように渋谷が話した言葉も印象的だ。

「こういう場所で歌えて、それを受け止めてくれるみんなの前で立たせてもらっていることは当たり前ではなくて特別なことなんだ」と語ると感謝の気持ちを込めて「ありがとう」を披露。一人じゃないし独りじゃない。SUPER BEAVERが全身全霊で歌っているのはそういう一対一の関係性であり、そういう目の前の人にありがとうと伝えること、愛していると伝えることの大切さなのだ。「見つけてくれてありがとう」「受け止めてくれてありがとう」と目の前のひとりひとりに向けて伝える彼らの姿はただただ美しかった。この感謝の気持ちはDEAD POP FESTiVALを主催したSiMにもしっかり届いただろう。「ありがとう」って当たり前過ぎて中々気付かないけど本当に素晴らしい言葉だとSUPER BEAVERに改めて実感させられるようなライブだった。そして夢を与える人間の強さを歌った「ILP」で彼らのDEAD POP FESTiVALは幕を閉じた。「分かる人にだけ分かればいい」ではなく「あなたに分かって欲しい」とアイ・トゥ・アイで歌うSUPER BEAVERに会場から「ありがとう!」の声が鳴り響いていた。気付くと雨も上がっていた。

【SET LIST】
01.証明
02.青い春
03.秘密
04.ありがとう
05.ILP

取材・文:柴山順次
写真:Kohei Suzuki