「YOASOBIからいつものメンツも含め、AwichやSKINDREDまで、過去イチやばいメンツだったと思います。でも最後に出てくるSiMがダサかったら説得力ないよね。安心してくれ！ SiMはクソ強えからな！」とはMAHの言葉。降りしきる雨の中、閃光のように登場した主役・SiMは、レゲエで体を揺らす「Get Up, Get Up」から、超初期からのキラーチューン「ANTHEM」、社会的メッセージを込めた「WHO’S NEXT」とノンストップでアゲていく。やはりSiMはクソ強。しかも昔からのキラーチューンのみならず、魅惑のコーラスが光る「KiSS OF DEATH」や容赦なく躍らせる「DO THE DANCE」と、最近のSiMの楽曲群も強いから説得力はマシマシだ。
言わずと知れた「The Rumbling」の前には、「今日イチ声が出ていたのはやっぱりYOASOBIだと思います。嘘でもいいので、一瞬だけYOASOBIを超えさせてください」と一言……と思いきや、「いや、嘘じゃねえな。本気で超えようぜ！」と、自身とDEAD POP FESTiVALを信じて演奏を始めれば、壮大なサウンドと共に、今日イチの盛大なシンガロングが本当に広がった。
「すべての皆さんに感謝の……いい意味で、死ねー！」からの「KiLLiNG ME」、ダメ押しとばかりに「Blah Blah Blah」を畳みかけ。２日間朝から夜まで遊び倒してヘトヘトなはずのオーディエンスをまだまだ暴れさせていく。そしてラストに、“本日4ステージ目”となるKoie（Crossfaith）を呼び込み、客席にこう呼びかける。
「みんながやりたがるウォール・オブ・デス。本物ってやつを見せてやろうぜ」。
「本物を見せてやる」ではなくて、「見せつけてやろうぜ」。だって、ウォール・オブ・デスはステージ上のバンドマンが行うものではなく、フロアのキッズが行うものだから。“DEAD POPの本物を見せてやろうぜ”なんて言われたら、キッズたちも気合いが入らないわけがない。ステージ上のSiMとKoieに負けじと殺気迫る勢いで大爆発し、本物のDEAD POPのウォール・オブ・デスを見せつけた。満足したMAHは「自分に拍手、そしてSiMにありがとう！」と最後まで悪魔で、「また来年〜♪」と軽やかにSiMのSiMによる、SiMのためのDEAD POP FESTiVAL 2024を終幕させた。
「SKINDREDが5分押し、coldrainもちょっと押したからしゃべってる暇ない」と笑いながら説明しているとき、日本語がわからずポカンとしていたBenjiにMAHが笑いかける。そしてふと英語で話しかけた。その内容は、2008年のサマソニにSKINDREDが出演した際、MAHはフロアで見ていたということ。続けてBenjiに向かって「Now, You are friend!」と言いながらハグをした。フロアから見上げて憧れていたステージに、立っている。今日のオープニングアクト・The Cards I Playはまさに今、SiMと同じように自主企画イベントをDPFの初期と同じＣLUB asiaで定期的に行っていると言い、MAHに「前例（DPF）があるんだから、お前らもいけんじゃない?」と言われている。この日CAVE STAGEのトップバッターとしてステージに立ったYOASOBIのAyaseも、YOASOBIの前に組んでいたラウドバンドでDEAD POP FESTiVALを「いつかは……」と夢見ていた。TOROの梅田シュウヤも初めて見に行ったフェスがDEAD POP FESTiVALだったと話していた。
そしてこの日の「KiLLiNG ME」では、間奏で恒例の座らせるくだりではなく「ギター弾けるやついる？」と呼びかけ。挙手したファン・リョウタロウをステージに上げ、SHOW-HATE（G）が彼にギターをさずけると、バンドはリョウタロウと共に演奏した。リョウタロウは高らかにおなじみのリフをかき鳴らし、SIN（Ba）やGODRi（Dr）と向かい合って鳴らしたり、お立ち台に足をかけて見せつけるようにプレイしたりと、堂々と憧れのSiMのステージを楽しんでいた。彼はステージを降りる際、涙をぬぐっていたように見えた。SiMは悪魔だから「夢を叶えよう」みたいなことは言わない。だけど、自分たちが一つ一つ登っていく様をずっと見せてくれているし、後輩の夢になり、引き上げてる姿も見せてくれている。それは彼らは長く続けているからこそできること。今年20周年を迎え、11月にはぴあアリーナMMでの対バンも控えているという。SiM、いつも「死ね」とか言ってるけど、長くバンドを続けてくれてありがとう（ハート）
＜セットリスト＞
- Get Up, Get Up
- ANTHEM
- WHO’S NEXT
- KiSS OF DEATH
- The Rumbling
- DO THE DANCE
- KiLLiNG ME
- Blah Blah Blah
- f.a.i.t.h
文：小林千絵
写真：鈴木公平／半田安政