Awich 「モッシュもダイブも初体験! お前らにヴァージンをあげる」クイーンの寵愛を受けた我々に幸あれ!

  • 2024年6月30日
  • 0630
    • Awich

ここからDEAD POP FESTiVAL 2024も終盤戦へ。刮目せよ、CAVE STAGEに登場するのは、日本のHIPHOPクイーン、愛とエロスの伝道師、この時代の代弁者、我らが姐さんAwichだ。

普段、HIPHOPを聴く人であろうとそうでなかろうと、もはや日本人であればAwichのことを知っている。その曲もリリックも聴いている。そもそもジャンルをクロスオーバーして音楽を聴くことに長けた民が集まるフェスがDPFだ。その適応力は半端なものではなく、最初は遠慮がちに身体を揺らしていたフロアも最後にはジャンプにモッシュ、まさかのウォール・オブ・デスを連発するに至った。Awichの言葉には人を突き動かす強さがあり、そこにパワーをもらい、今やらなくては! という衝動が生まれる。徐々に沸いていくフロアを見て、Awichの魅力と強さを感じさせられた。

「THE UNION」でライブスタート。呪術的でエキゾチックなイントロに合わせて、Awichが天を仰ぎながらラップする。天候は雨であったが、その光景が合わさると、さながら神々に祈りを届けるような儀式にように見えた。「新しい光景を見せてやる」から始まったのは「Queendom」。この曲は、Awichが2022年3月に行った日本武道館公演の際に発表された曲であり、自身の半生を語ったもの。これから始まるライブの幕開けに相応しく、リリックのラストは＜今立つ DPF!＞に変えて発せられた。

挨拶がてら「まさかラッパーが来るとは思ってなかったろ! 充分に楽しませてやるから覚悟しておけよ!」と自らの曲「Shook Shook」のリリックになぞらえたMCに大歓声で応えるオーディエンス。以降、セットリストは攻めっ攻め。Awichが持つ楽曲の中でも特にアグレッシブでパーティ向けの内容となった。「Guerrilla」後にMCで次のようにクイーンからの誘い。

「DPFに出ることになって、超楽しみにしていたことがあります。最近、ライブハウスでもアリーナでもモッシュができないわけ。でも、ここはそういう場所だって聞いたんだけど。教えて? モッシュしていいの? 私の曲でも、雨の中でも、ぶつかっても仲良く笑ってモッシュしてくれますか!?」

怒号のような歓声が上がり、次曲ではモッシュが起こるか? という期待感の中、Awichは「じゃあ準備してください。各セクションごとにスペースを作って」と誘導。

『あ、なるほど』とフロアが蠢きぐーっとサークルが出来上がる。そして「ALI BABA」の歌い出しでは、ディストーションのかかったAwichの「３、2、1」に合わせて一気にもみくちゃの錐揉み状態へ!

たしかにこんなことHIPHOPのライブでは起こり得ない。そこからオーディエンスも「HIPHOPでモッシュダイブしていいんだ!?」と思ったのか、溢れ出るようにダイバーが続出した。

名曲「Remember」ではCAVE STAGEがジャンプにダンスで楽しみ、その光景に「DPF最高! こんなにモッシュが起こるのもダイブも初体験! お前らにヴァージンをあげます!」と大笑顔のAwich。クイーンご満悦の様子にフロアも大喜び。

ちなみに姐さん。このモッシュの文化をDPFなどのライブハウスシーンではウォール・オブ・デスと呼んだりもします。DPF名物ウォール・オブ・デス、以後、お見知りおきを。

「お水飲んでる? HABUSH飲んでる? 1人残らず飲んで帰ってください。エロい気分になるから。女神のお酒だから。今日は全員食らってもらいます!」で投下されたのは「Bad Bitch 美学」のソロver! ここからはまさしく怒涛。「洗脳」、「WHORU?」、「GILA GILA」と誰もが聴いたことのある名曲のオンパレードに、Awichに促されることなくサークルピットが出来上がり、リフトにダイブが溢れかえった。

「RASEN in OKINAWA」では、この後にCHAOS STAGEに出演するOZworldが出演。そこの止まらず、ChicoCarlitoまでも登場! ゲストが出てくる度にダイブを繰り出して喜びを伝えるDPF。Awichにダイブとモッシュを楽しんでもらうんだ、と言わんばかりの勢いである。

そして、「ChicoCarlitoがいるってことは?」という流れで、これまた大人気曲「LONGINESS REMIX」!  ここでフロアに出来上がったサークルを見たAwichが「もしかして、そこ準備してくれてた?  じゃあ3、2、1っていうからもう1回やって!」とウォール・オブ・デスを誘発。普段は観ない光景にChicoも「ヤバいね!」とひと言。果たしてウォール・オブ・デスが連発するという異色の「LONGINESS REMIX」が出来上がった。

ラストの「Bad Bad」の前にAwichは「お前らのやり方でぶち上がれ!」とフロアに告げたが、この姿勢こそが普段からAwichが伝えていることでもある。自分らしく生きろ、やりたいことがあるならやれと。

「RASEN in OKINAWA」では、＜失敗は成功のもと　本当に成功の反対にあるのは＞から＜何にもやらないこと＞を全員でシンガロングした。そういうことなのだ。何もやらないで終わらすな、と。そして女王の寵愛を受けたDPFには祝福が訪れる。我らがクイーンにリスペクトを。

そして、女神が作りたもうたHABUSHをたらふく飲め。

＜セットリスト＞

  1. THE UNION
  2. Queendom
  3. Guerrilla
  4. ALI BABA
  5. Remember
  6. Bad Bitch 美学
  7. 洗脳
  8. WHORU?
  9. GILA GILA
  10. RASEN in OKINAWA feat.OZWorld,ChicoCarlito
  11. LONGINESS REMIX feat.ChicoCarlito
  12. Bad Bad

文：田島諒
写真：かわどう