CAVE STAGEのトップバッターは、コンポーザーのAyaseとボーカルのikuraからなるYOASOBI。AyaseはYOASOBIを始める前、ラウドバンドを組んでいた“メタルコア出身”。念願のDEAD POP FESTiVAL出演だ。そしてドラムは、CrossfaithのTatsuya。そんな彼らが、真昼間にどんなライブを見せてくれるのか。
そんな期待から、朝から会場には多くのオーディエンスが詰めかける。ゆっくりとステージに姿を現したYOASOBIは、開口から「夜に駆ける」「祝福」を連投。ikuraの伸びやかな歌声が蒸し暑い東扇島東公園に広がる。モッシュやダイブで沸くフロアはもちろん、Tatsuyaのビートにアジテートされるようにクラップが広がると、後方まで盛り上がる様子を、Ayaseはうれしそうに見渡していた。ikuraは、宮部みゆきの小説を楽曲化した「セブンティーン」では膝に腕をついて勇ましく歌ったかと思えば美しく舞い、島本理生の小説を原作にした「ミスター」では切なく歌い上げるなど、表情豊かに楽曲を届け、YOASOBIの世界観へ誘っていった。
ライブの雰囲気が大きく変わったのは中盤、Ayaseがマイクを握ってから。Ayaseは「YOASOBIを始める前、ラウドバンドを8年間やっていて。そのときからいつか絶対ここに立ちたいって思ってたステージです。この偉大なDEAD POP FESTiVALというフェスティバルと、偉大なマイヒーロー・SiMに、改めてこの場をお借りして、最大のリスペクトと愛を伝えます。ありがとう」と主催者に感謝を伝える。続けて「ポップスだからお手柔らかにとかそんなこと言うつもりないから！ 全員でかかってこいよ！」と煽ると同時に不穏なイントロから「アイドル」へなだれ込む。すると特大のMIXと共に、それまで以上に多くのダイバーが続出し、朝イチにして、すでにこの日一番といいたくなるような盛り上がりとなった。
ページをめくるようにSEを挟みながら、エスニックなリズムが印象的な「勇者」、ikuraの気だるい声から始まる「怪物」を続けてさらに様々な物語を見せていくYOASOBI。ラストナンバー「群青」ではみずみずしいサウンドに乗せて、国内外のメタルコアバンドのTシャツを着たキッズたちの大合唱が広がる。その光景を目にしたAyaseの感極まった姿に、＜好きなことを続けること それは「楽しい」だけじゃない＞＜何回でも ほら何回でも 積み上げてきたことが武器になる＞＜好きなものと向き合うことで 触れたまだ小さな光 大丈夫、行こう、あとは楽しむだけだ＞という歌詞が、そのまま彼の生き様に重なって見えたのは、私だけだろうか。2日目のDEAD POP FESTiVALの幕は開いた。さぁ、あとは楽しむだけだ。
＜セットリスト＞
- 夜に駆ける
- 祝福
- セブンティーン
- ミスター
- アイドル
- 勇者
- 怪物
- 群青
文：小林千絵
写真：鈴木公平